内容説明
科学的であるとはどういうことか、人々が宗教に心惹かれるのはなぜか―。科学と宗教の境界を超える「対論」を気鋭の生物学者と仏教学者が繰り広げる。
目次
第1の対論 物質と精神
第2の対論 意識と無意識
第3の対論 生と死
第4の対論 科学と宗教における絶対的存在
第5の対論 科学と宗教の重なる部分
第6の対論 科学と宗教の将来
第7の対論 科学と宗教
著者等紹介
斎藤成也[サイトウナルヤ]
1957年生まれ。東京大学理学部生物学科卒業。米国テキサス大学ヒューストン校大学院修了(Ph.D.)。現在、国立遺伝学研究所教授、総合研究大学院大学遺伝学専攻教授(兼任)、東京大学大学院生物科学専攻教授(兼任)
佐々木閑[ササキシズカ]
1956年生まれ。京都大学工学部工業化学科および京都大学文学部哲学科仏教学専攻卒業。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学。米国カリフォルニア大学バークレー校仏教学科留学。現在、花園大学教授。文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひめぴょん
10
科学者と宗教者の対論・対談。科学を基盤にした仕事をしつつ、禅に興味を持っている私には興味深い本でした。科学と宗教(仏教以外についても言及)の過去・現在。未来を考える本。根に共通点がある気もします。 以下は文中引用。 「機械」は人間が計画し、ある目的を持って作られるものであるのに対して、生物には目的などない。 キリスト教、イスラム教のように天地創造を考える宗教ではすべては神の思いの反映。したがって、その外部世界の構造を解明することは、神の意思を確認すること。キリスト教社会の中から近代科学が生まれてきた理由は2024/04/30
kenitirokikuti
7
ひさしぶりに仏教に手を出した。わたしは7〜8才ぐらいのとき、近所の創価学会やってるおうちで天台教学マンガ(みなもと太郎だった)を読んで感心したのを覚えている▲佐々木閑はいまの日本の仏教学だと一番えらい人っぽい。昔の中村元みたいなポジションかな…▲細かいことをだいぶ忘れてたので、釈迦の仏教と、アビダルマと、いまある小乗(上座部)の違いみたいな基礎的なところから思い出し直しであった▲釈迦の説は「輪廻」を前提としているので、釈迦は輪廻を説かなかった説なども生じたが、やはり釈迦が輪廻を説いたのは否定できない。2018/01/13
俊介
5
「ごまかさない仏教」を読んでから佐々木閑氏に興味持ったので読んでみました。対論相手の斎藤成也氏のことは存じ上げなかったのですが、佐々木氏とは高校時代以来の付き合いみたいで、対論と銘打ってますが、白熱した議論というわけではなかったです。でも内容的にはとても良かったです。とても興味深いテーマをそれぞれの言葉で掘り下げてあり、難解な言い回しとかせずに、すっきり胸に落ちました。個人的には、佐々木氏の仏教観が端的に述べられてあるのでとても参考になりました。仏教入門書としても分かりやすくていいのではないでしょうか。2019/01/24
marmelo
5
斎藤氏の視点には非理系人間にも解りやすくという優しさが感じられてありがたかった。また第2部の対話で氏の宗教知識の広さに驚かされた。対する佐々木氏の視点には、私がこれまでYouTubeで氏の講話を聴いたり著作で読んだところとの重複が多少あって、それが理解を助けてくれた。捉え方によって科学と宗教には類似点が有るとも無いとも言えるのだろうが、科学の進化、とりわけ脳科学分野の研究の進展が人間にとっての宗教というものを解明していくことになるかもしれないと思えてきた。2016/11/13
モリータ
4
◆2009年刊。2022/12/29