内容説明
都新聞の花柳演芸記者を勤め、長唄、清元など演芸全般に通じた粹人平山蘆江は、泉鏡花、喜多村緑郎らと夜な夜な「怪談会」に打ち興じる怪談好きとしても知られた。本書は、蘆江がものした怪談小説十二本に随筆「怪異雑記」の附録つき。「火焔つつじ」など二三の作品がアンソロジーに収録されただけで、令名のみ高く、その全貌を見たものが殆どいなかった幻の怪談集を、昭和九年の初刊以来七十五年振りに復刊。
著者等紹介
平山蘆江[ヒラヤマロコウ]
小説家・随筆家。本名は壮太郎。1882(明治15)年、神戸生れ。実父の死後、長崎の酒店平山家に引き取られる。東京府立四中を中退。日露戦争中に満州に渡り放浪。帰国後、都新聞・読売新聞の花柳演芸欄を担当する。1953(昭和28)年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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メタボン
23
☆☆☆☆ 良い本を復刊してくれた。5月の旅の途中、軽井沢駅の売店で何気なく手に取った本書。旅のさなかに読む本として最適だと思って購入したものだが、結局怪談にふさわしいお盆の時期に読むことに。おどろおどろしさを感じさせない淡々とした語り口が、むしろ怪談らしい。人間の業の深さを感じる「悪業地蔵」「縛られ塚」が特に良かった。「投げ丁半」の軽妙なやりとりも面白く読んだし、「大島怪談」のラストにはぞっとさせられた。2018/08/16
シガー&シュガー
15
「文豪山怪奇譚」で「鈴鹿峠の雨」を読んていたためなんとなし期待していたら大当たりだった怪談集。怪談12話+雑記、そのうち情愛の絡んだ「悪業地蔵」「縛られ塚」は凄まじく、花柳演芸担当だったという蘆江の筆も冴えている気がしますが、個人的にはそれよりも「怪談青眉毛」「火焔つつじ」のようにさらりと語られるくせに人間の業の深さを思わせられるような作品に惹かれました。岡本綺堂に洒脱さと茶目っ気を多分に加えたような語りは終始小気味良く、猛暑日の不快さを和らげてくれた一冊でした。また来年の夏、読み返したいな。2016/07/08
ベック
4
怪談は、やはり語り口なのであった。しかし、本書に収録されている怪談は、それが泉鏡花と同時代のものであるにもかかわらずなかなかのヒネリを見せてくれるから驚く。「悪業地蔵」や「縛られ塚」などは、途中の展開が素晴らしく、いったいどうなるんだろうかとハラハラした。怖いだけじゃない絶品の怪談じゅうぶん堪能いたしました。2015/08/14
澤水月
4
ブルタルファストコアのようにさくさくーっと進む怪談集。創作ばかりかと思ったら実話の体もあり興趣つきない。特に最後の怪異雑記は大正末期から昭和初期に演劇界花柳界に伝えられた実話怪談集としても読める。三陸大津波に関する怪談に「つくり話」との憶測を加えつつ言及しているのに今読むとどきりとした2011/10/10
てっちゃん
3
旧仮名遣いでもすらすら読める。最近のホラーと言われる小説とは明らかに違う怪談であり、読んでいて品があり日本の夏にぴったり。やっぱり「火焔つつじ」が一番面白いが「大島怪談」も良かった。2011/08/16