内容説明
徳田秋聲、瀧井孝作、梶井基次郎、井伏鱒二、尾崎一雄、上林暁、川崎長太郎…親しくまじわった小説家たちを回想する、かぐわしい文章。梅崎春生、石原慎太郎、三浦哲郎、五木寛之ら、新人小説家を逸早く推輓する一方で、時代に忘れられた小説家たちを愛惜する犀利でおだやかな眼差し。文藝評論家・浅見淵の半世紀にわたる文業から、代表作を精選した滋味掬すべき随筆集。
目次
老作家
泉鏡花と人力車
芥川龍之介を解く鍵
葛西善蔵の二つの面
志賀直哉
百〓(けん)の小説
「細雪」の世界
宇野さんと上高地
犀星晩年の女びと
上高地〔ほか〕
著者等紹介
浅見淵[アサミフカシ]
文藝評論家。早稲田大学文学部卒業。小説家として出発するとともに、作家論・作品論など旺盛な評論活動に勤しむ。また時評家として、梅崎春生、石原慎太郎、三浦哲郎、五木寛之らの小説を逸早く推輓する。1973年没
藤田三男[フジタミツオ]
編集者。早稲田大学文学部卒業。河出書房新社取締役編集部長、木挽社を経て、現ゆまに書房編集部顧問榛地和の筆名で、多数の装本がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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月
7
★★★☆☆(小説家であり文芸評論家でもある浅見淵氏の随筆集。ウェッジさんは相変らずニッチというか・・渋い所を発刊してくれている。随筆毎に温度差はあるものの個人的には「志賀直哉」、「犀星晩年の女びと」、「夏日抄(瀧井孝作)」、「井伏鱒二会見記」、「尾崎一雄論」、「梶井基次郎君の印象」、「晩年時代の太宰治」といった所が面白かった。特に「尾崎一雄論」あたりは熱が篭っている。そのほか既読の作家が多い分楽しめる一冊。しかし、著者の文章的魅力(筆力)といった意味では「夏日抄」以外は少し物足りなさも感じてしまう・・。)2013/01/23
フリウリ
4
瀧井孝作と相模川に釣行する「夏日抄」、「川崎長太郎会見」などが読みどころと思ったが、「忘れられた作家たち」で出てくる作家(園池公致、三宅幾三郎、関口次郎、松本泰、山崎俊夫、小島政二郎、木村庄三郎、蔵原伸二郎、白石実三、藤澤清造、中島直人、佐々三雄、古木鉄太郎など)の多くは、自分が聞いたこともない作家であり、このように名前が残されていることは、意味があると思った。「夏日抄」は、八王子に住んでいた瀧井孝作が、相模川へ行くのに橋本から歩いていたことがわかり、興味深い。浅見淵も戦後、八王子に住んでいた。72023/03/23
シンドバッド
2
ウエッジ文庫は、在庫がある書店が少ないのが難点ですが、良い本がそろっている。 藤田さんの編集が見事で、大変、面白い。芥川龍之介、志賀直哉、太宰治など逸品揃い。2012/09/30
bestkkk
1
味わい深い。谷崎『細雪』の批評は白眉。2009/01/30
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- 和書
- 小笠原流煎茶の花と盛物