内容説明
二十一世紀は心の時代―。かつての日本人は、心の豊かさを持っていた。だが、物質文明の発達によって、多くの日本人が心のゆたかさをどこかに忘れてきたのではないだろうか。人間を尊重する心ゆたかな社会をつくってゆくために、私たちが心がけるべきことは何か。古代から現代をつらぬく日本人の精神史を探求し続けてきた中西進が、すべての日本人の贈る言葉の花束二十一章。
目次
第1章 心(まける―相手に生かされる道をさぐる;おやこ―家族問題を招く子ども大人の氾濫;はなやぐ―恋愛は心の匂いだった ほか)
第2章 躰(ごっこ―子どもよ、もっと仲間と遊べ;まなぶ―生命のリズムを育てたい;きそう―競技とはお互いの成長を目指すものだ ほか)
第3章 暮らし(たべる―自然を生かしたおふくろの味を取り戻そう;こよみ―「体のカレンダー」をもとう;おそれ―自然へのおそれを忘れた現代人の遊び感覚 ほか)
著者等紹介
中西進[ナカニシススム]
奈良県立万葉文化館長。文学博士、文化功労者。日本文化、精神史の研究・評論活動で知られる。日本学士院賞、大佛次郎賞、読売文学賞、和辻哲郎文化賞、奈良テレビ放送文化賞ほか受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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弥勒
14
自然との接し方を忘れてしまつたことが日本人にとつて最大の忘れものなのではないだろうかといふ感想を本書を読み終へて抱きました。教育におきましても、この自然との接し方といふものを忘れて個性重視の教育の結果として「人を殺してみたかつた」といふ理由で殺人を犯してしまう人が生まれてしまつたのではないかと思ふのです。全体への帰属意識、つまり人が自然のなかで生まれやがて還る、といふこの事だけでも現在の教育に取り入れられましたら、こんな情けない理由で殺人に手を染めてしまう人も生まれなくなるのではないでせうか。2017/03/24
てら
8
今や常識ではなくなってしまった、かつての日本にあった風景が思い浮かぶ本。記述の中には「本当か?」と思うようなことも書かれているが、考え方としては面白い(群と独の項)。2025/04/09
鉄人28号
6
☆☆ 随所に日本の言葉についての解説が書かれている。「えーっそれはそういう意味だったのか」と目から鱗が落ちる件りが多かった。日本人の心の原点に触れることができる本である。2019/03/20
富原
5
タイトルに惹かれて中古本で購入。10年くらい前の本で、ちょっと情報が古いのはありましたが、サラッと読めました。内容は、心・躰・暮らしの3つの章から、いろいろな日本語の語源を紐解いて、元々はどういう意味合いや意図を持って使われていたか解説された本でした。著者の現代社会に対する嘆きの部分も多くありましたが、自分も『おそれ』の章は共感する部分が多く勉強になりました。現代社会では『恐れ』が失われている、すなわち傲慢ということ。自然への敬意と恐れは忘れずに持ち続けていたい。2017/08/27
あしお
3
読むのに2年くらいかかったw 色々な日本の言葉からその背景にある日本人の精神性を明らかにしようとしたエッセイ、、って説明でいいのかな^_^; つまらないわけじゃないけど、こじつけっぽい理解も多い気がする。2021/09/26