内容説明
震災直後殉職を覚悟して津波に立ち向かって行った戦士たちはいまは人の心の闇と向き合っていた。問題は天災だけではない。集団心理の恐怖、未成年への影響、飲酒運転・諍いの激増、仮設住宅での事件、ボランティア同士のトラブル―。これまでほとんど報じられなかった警察が直面した被災地の現実を描く衝撃のドキュメンタリー。
目次
第1章 署員集結(石巻署全滅か;鮎川の惨状)
第2章 孤立無援それぞれの3・11(瓦礫まみれの海へ決死のダイブ―蛇田交番勤務、巡査部長・加藤一也;生死をわけた、時間差で渋滞車両を襲った津波―刑事第一課係長、警部補・森下雅幸 ほか)
第3章 粉骨砕身(不安と焦燥のなかで挑む検視業務;遺体を扱う現場は修羅場 ほか)
第4章 正義貫徹(被災地という特殊事情で発生する窃盗の実態;出頭してきた子連れの女性窃盗者―生活安全課勤務、巡査長・本橋修 ほか)
第5章 職務続行(時間差で交通課を襲った津波の余波;前代未聞の拾得物対応 ほか)
著者等紹介
山野肆朗[ヤマノシロウ]
エディター、ノンフィクションライター。インタビュー記事やルポ、ドキュメンタリー、企画・構成を手掛け、紀行本でも好評を博している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ノンケ女医長
14
平成23年3月11日。大地震に襲われたとき、警察官がいかに誇り高く、悲惨な状況を目の当たりにしながらも公務に精励したかが、ありありと描かれる。まだまだ冷え込む、3月の宮城県。日常生活を突然奪われ、家族と離ればなれになったのは、住民も警察官も同じ。災禍から逃げることなく、たくさんの警察官が一致団結して、地域を守り抜くドラマを読むことができる。非常事態にどう警察組織が向き合うべきか、指南書になるのでは。貴重な書物に巡り合えた気持ち。各都道府県警察本部だけでなく、日本の警察署1200署に一冊ずつ今作の備えを。2023/12/18
Yasuhiko Ito
5
石巻市出身なので、震災関連本はだいぶ読んだが、警察官の方々の経験談を記録した本はこれが唯一かもしれない。これまた泣ける話満載です。2018/09/02
亮子
2
その日、巡査部長の松島正博は普段の当番日と何変わることなく、石巻警察署での朝の会合に出席してから定刻に持ち場の女川交番に入った。2017/08/20