内容説明
本全集第1巻と第2巻では、これまでのヘーゲル理解を主導してきたベルリン版『ヘーゲル著作集』に収録されず、その全貌を知ることができなかった初期論稿76編のテキストを収める。本巻ではフランクフルト期の原稿群を中心に37編のテキストを収録。当時の時代状況や聖書読解を背景に、カント的な道徳的宗教論への批判を通して「愛」の合一哲学を展開する宗教論『キリスト教の精神』(執筆1797‐1800)。これまでN.ノールにより『キリスト教の精神とその運命』という表題でまとめられてきた原稿群を本全集では各原稿ごとに編集・復元した。ヘーゲルの最初の刊行物、弁護士J.=J.カルによるベルン共和国の寡頭政治の実態を暴露した批判書の翻訳『カル親書訳』(1793)の初の全訳を収録した。これら宗教や政治関連のほか、文学や歴史、幾何学など多岐にわたる分野の原稿が収録され、これまでの「哲学者」ヘーゲルだけではない、幅広い「教養人」としての彼の姿を読み取ることができる。新たなヘーゲル像探究の必読文献。
目次
A ベルン期原稿群―フランクフルト期清書原稿群とともに
B フランクフルト期原稿群
C 翻訳
D 二次伝承資料
E 未確定資料
F 亡失資料報告
解説(総論;テキスト各論)
著者等紹介
山口誠一[ヤマグチセイイチ]
1953年生まれ。東京大学文学部哲学科を経て東京都立大学大学院人文科学研究科哲学専攻博士課程単位取得退学、法政大学文学部教授(哲学)、Jahrbuch f¨ur Hegelforschung国際顧問(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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