内容説明
京都大学での昭和41年から58年まで18年におよぶ「中世哲学」講義を全5巻に収録、他に類のない貴重な記録である。本巻では退職1年前の昭和56‐58年度までの3年間の講義を収載する。「中世哲学の基本を特徴づけているものとは何か」という関心の下に継続された講義の最終巻となる。人間知性が「第一に認識するのはエンスなのかエッセンチアなのか」という問いから始まる56年度の講義は、第一に認識されるのは「エンスのエッセンチアである」との答えが与えられ、その後に考察は存在の根原から認識(光)の根原としての神の認識へと向かう。
目次
第一に認識されるものについての問題(一)―「エンス」か「エッセンチア」か
第一に認識されるものについての問題(二)―「エンスのエッセンチア」essentia entis
第一に認識されるものについての問題(三)―エッセンチアの在り場としてのエッセの認識
第一に認識されるものについての問題(四)―神のエッセの認識
第一に認識されるものについての問題(五)―第一真理としての神
第一に認識されるものについての問題(六)―問題の要約と展望
第一に認識されるものについてのトマス説(一)―「現生における」という知性認識の条件
第一に認識されるものについてのトマス説(二)―神の本質が知性の第一認識であるとする説の反駁
第一に認識されるものについてのトマス説(三)―光の説の歴史的由来、能動知性
第一に認識されるものについてのトマス説(四)―能動知性の二つの解釈〔ほか〕
著者等紹介
山田晶[ヤマダアキラ]
大正11年(1922)生まれ。昭和19年(1944)京都帝国大学文学部哲学科卒業後、大阪市立大学文学部を経て、昭和40年(1965)に京都大学文学部助教授、昭和43年(1968)に教授となる。昭和60年(1985)に京都大学を定年退職後、南山大学文学部教授、聖霊短期大学特任教授。平成10年(1998)に日本学士院会員。平成20年(2008)没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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