内容説明
キリスト教思想では、アウグスティヌスやトマスなど主要な研究対象になる思想家もいれば、フィオーレのヨアキムやクラウゼのようなあまり知られていない思想家もいる。本書は無名の思想家に光をあて、知られざる思想上の貢献を紹介し、またレッシングやトレルチ、ニーバーなど周知の思想家についても、見過ごされてきた側面に注目し、思想史上の新たな意味を掘り起こす。本書で考察する7人の著作家の位置づけ、その特徴と系譜を独自の視点から結び合わせ、そこに潜んでいる隠れた連関を浮かび上がらせて、新たな思想史を提示する。著者の広範な関心と独自の知見が、読者をキリスト教思想の新たな魅力に誘う注目の一書である。
目次
第1章 思想史の裏街道―轍の跡
第2章 フィオーレのヨアキム―「第三の時代」と「永遠の福音」
第3章 セバスティアン・フランク―孤独な個人主義者の「第四の信仰」
第4章 ゴットホルト・エフライム・レッシング―「ある偉大な、慈悲深い君主のいとしい庶子」のキリスト教
第5章 フリードリヒ・シュライアマハー―信仰と学問の間の「永遠の契約」
第6章 カール・クリスティアン・フリードリヒ・クラウゼ―忘却された哲学者の「万有在神論」
第7章 エルンスト・トレルチ―「すべては揺らぎ倒れつつある」
第8章 ラインホールド・ニーバー―「平静の祈り」
付録 ベルリン墓標めぐり
著者等紹介
安酸敏眞[ヤスカタトシマサ]
1952年生まれ。京都大学大学院博士課程およびヴァンダービルト大学大学院博士課程修了。Ph.D.、京都大学博士(文学)。現在、北海学園大学学長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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