内容説明
意思決定理論における基本的トピックについて証明と解説をし、公理的方法の「基本動作」を習得することを目的とする意思決定理論の教科書。意思決定理論での公理には二つの役割がある。まず「意思決定とはいかにあるべきか?」という規範的議論。ここでは「合理性」の基準を明確にし、推移性の公理により首尾一貫性としての「合理性」を考察する。次に「人は実際どのように意思決定するのか?」という事実解明的な議論。ここでの公理の役割は選択行動を観察して、直接検証可能な性質を明らかにすることである。推移性の公理により、実際に人間の選択行動が持っていると想定される性質を検討する。人間の選択に形式的な法則性を見出すのは難しいが、選択の性質を公理という独立した命題の形で表現することにより、理論をできるだけ直接反証可能なものにする。規範的議論における公理の役割は比較的明瞭であるが、事実解明的議論では注意深い留保条件が必要となる。最終的には、公理的分析によってこの公理を満たす意思決定方式が、ある種の関数の最大化として表現される。
目次
第1章 選好とその表現
第2章 顕示選好
第3章 多項目からなる選択肢と分離性
第4章 危険下の決定基準
第5章 不確実性下の決定基準と主観的信念
第6章 信念のあいまいさ
第7章 信念の改訂と動学的整合性
第8章 流列の決定基準
第9章 機会の選択基準
第10章 情報と知識
第11章 不確実性下の社会的意思決定
著者等紹介
林貴志[ハヤシタカシ]
1974年千葉県生まれ。2004年ロチェスター大学経済学PhD取得。現在グラスゴー大学アダム・スミス・ビジネススクール教授。意思決定理論・ミクロ経済理論を専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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