内容説明
批判的校訂によるアカデミー版の成果を踏まえ、日本語版独自の編集により訳出、解説と詳細な注は新たなヘーゲル研究の基盤と最新のヘーゲル像を提供し、従来の関連作品を一新する待望の本格的全集である。本巻は、形而上学に代わる「客観的論理学」と概念論である「主観的論理学」から構成され、三分冊で出版された『論理学』(1812‐16)の第1分冊「存在論」(第1版1812)を収める。ヘーゲルはその初期から論理学に関して思索を続け、彼の論理学の自身の哲学体系内での位置づけや内容を変化・発展させてきた。『論理学』で示されるヘーゲル論理学は、古典的・現代的な意味での「形式論理学」でも、経験科学や自然哲学、精神哲学という「応用論理学」でもない、カントの超越論的論理学を受け、『精神現象学』(1807)で到達した存在と思考が統一した「絶対知(純粋知)」を前提とし、それを展開し拡大した「純粋な学」である。本巻では、「直接的なもの」であると同時に「媒介されたもの」である「純粋な存在」から出発し、「規定性(質)」から「大きさ(量)」、「度量」へ展開し、『論理学』第2分冊目で扱われる「本質」へ移行していく。
目次
第1巻 客観的論理学(存在)
第1編 規定性(質)(存在;定在;対自存在)
第2編 大きさ(量)(量;定量;量的相関(比))
第3編 度量(特有の量;自立的な度量の比;本質の生成)
著者等紹介
久保陽一[クボヨウイチ]
1943年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科哲学専攻博士課程単位取得退学、文学博士(哲学)。駒澤大学名誉教授
飯泉佑介[イイズミユウスケ]
1984年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程在学中/特任研究員、修士(文学)
岡崎秀二郎[オカザキシュウジロウ]
1986年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程在学中、修士(文学)
三重野清顕[ミエノキヨアキ]
1977年生まれ。東京大学人文社会系研究科博士課程単位取得退学、東洋大学准教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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