内容説明
本書は多くの説教を駆使するとともに、エックハルトの根底概念との比較などを通して、タウラー神秘主義の独自性を明らかにし、さらにその現代的意義をも示した他に類書のない貴重な業績である。
目次
第1章 タウラーの思想宇宙
第2章 テクスト問題
第3章 タウラーにおける「キリスト信従」(nachvolgunge)
第4章 タウラーのグルント神秘主義
第5章 タウラーの神秘主義的教導のプログラム
付論 タウラーの説教における比喩表現
著者等紹介
橋本裕明[ハシモトヒロアキ]
1953年愛知県に生まれる。1981年南山大学大学院文学研究科(独文学専攻)博士後期課程単位取得退学。現在、名古屋芸術大学芸術学部教授。博士(文学):筑波大学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
4
14世紀ドミニコ会士、タウラーの研究書。「タウラーは、人間は被造物であるがゆえに存在としては無であるとする。しかしまさにこの無という実存が、アルベルトゥスと同じく、その魂の最内奥に聖三位一体を映し出している。彼はこれを魂がもつ「偉大で不思議な高貴」と呼び、そこに神との「特別な親縁性」を見ている。この魂の最深の場こそが、グルント(存在論的側面を強調する場合)またはときとしてゲミュエテ(心理学的側面の強調)と名づけられる、本来の意味で神との交流を可能とする、被造的存在でありながらその境界を越え出る次元である」2023/05/01