出版社内容情報
ヨーロッパ中世の文化といえば12世紀ルネサンスが取り上げられることが多く,11世紀への注目は少ない。
著名な中世文学者アウエルバッハやドロンクらは,死語であったラテン語が11世紀に若返り,全く異なった花々を咲かせ,1050年から1100年に至る半世紀,詩において優れた創造性と独創性が発揮されたと評価した。
中世のラテン詩はウェルギリウスの強い影響下にあったが,11世紀になりオウィディウスの詩が読まれ始めると,その作風に影響を受けた詩人が出現した。著者はオウィディウスに心酔し,オウィディウス風の詩を書いたブルグイユのバウデリクスとランスのゴデフレドゥスを中心に初めて本格的な考察を施した。
本書は,等閑視されてきた11世紀ラテン文学を通して,初期中世の思考の変革から自己意識の覚醒,世界観の変化,地上の存在への注目,純粋に人間の立場への転換と古代作家への関心,さらに人間的愛や女性への注目など,新たな歴史の転換期を見通す貴重な作品である。
凡例
緒論
? ブルグイエのバウデリクス
一 生涯・作品
二 自分の詩を非難する者に対して
三 フロルス・オウィディウス往復書簡詩
四 パリス・ヘレネ往復書簡詩
五 バウデリクス・コンスタンティア往復書簡詩
六 アデラ宛書簡詩
? ランスのゴデフレドゥス
一 生涯と作品
二 インゲラヌスについて
三 オルレアンのオドーについての夢
四 若い女性についてのサドゥラ
五 ラングルの司教に
? レンヌのマルボドゥスとラヴァルダンのヒルデベルトゥス
跋
〈先師追懐〉
宇多五郎先生/江藤太郎先生/松本正夫先生
〈めぐりあいし学究〉
今道友信先生/吉川守先生
参考文献
柏木英彦[カシワギヒデヒコ]
著・文・その他
内容説明
本書は、等閑視されてきた11世紀ラテン文学を通して、初期中世の思考の変革から自己意識の覚醒、世界観の変化、地上の存在への注目、純粋に人間の立場への転換と古代作家への関心、更に人間的愛や女性への注目など、新たな歴史の転換期を見通す貴重な作品である。
目次
1 ブルグイエのバウデリクス(生涯・作品;自分の詩を非難する者に対して;フロルス・オウィディウス往復書簡詩;パリス・ヘレネ往復書簡詩;バウデリクス・コンスタンティア往復書簡詩;アデラ宛書簡詩)
2 ランスのゴデフレドゥス(生涯と作品;インゲラヌスについて;オルレアンのオドーについての夢;若い女性についてのサトゥラ;ラングルの司教に)
3 レンヌのマルボドゥスとラヴァルダンのヒルデベルトゥス
著者等紹介
柏木英彦[カシワギヒデヒコ]
1934年生。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程満期退学。慶應義塾大学、山口大学(国立)、金沢大学(国立)に勤務。現在金沢大学名誉教授。文学博士(慶應義塾大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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