出版社内容情報
クリスティーヌ・ド・ピザン(1365頃-1430頃)は百年戦争,大教会分裂など時代の転換期にペンで身を立てた初の女流作家である。ボローニャ大学で教鞭を執っていた父親がフランス宮廷に招聘され,幼少年期にパリに渡り生涯をフランスで過ごした。彼女は25歳で寡婦になってから,父親の教育により培った教養を糧に,王の伝記を執筆し,恋愛詩や道徳,政治,軍事,教育にわたるさまざまな分野で作家活動しつつ,ほとんどの女性が発言すらできない時代の中で,主要な知識人と渡りあい,王妃と直接向きあい,女性の知性と道義を貶める者に権威をもって異議を唱えた。
従来のクリスティーヌ評価が「女性の名誉と女性の権利との勇敢な弁護人」(ホイジンガ)というフェミニスト的イメージに偏りすぎるとして,著者は写本挿絵中のクリスティーヌの服飾に注目するなど,彼女の多様な活動の全体像に迫った。欧米では彼女への関心が高まっているが,わが国ではほとんど知られず研究もわずかである。本書はピザンへの格好の手引きとなろう。
日本語版への序文
序文
? あるイタリア女性の物語
? 運命と教育,あるいは教育を受ける運命
? 恋愛詩と宮廷趣味
? 「女性論争」
? 先駆者クリスティーヌ
? 青衣の婦人(レディ・イン・ブルー)
? 写本挿絵(ミニアチュール)という鏡のなかで
? 鋤と鏝をつかって
? 女子教育
? 衣裳と評判
?? 教育のために
?? 戦争と平和
?? 注文人,受取人,そして読者
?? クリスティーヌと同時代人
?? クリスティーヌと後継者
ハッピーエンド
訳者あとがき
マリア・ジュゼッピーナ・ムッツァレッリ[マリア ジュゼッピーナ ムッツァレッリ]
著・文・その他
伊藤亜紀[イトウアキ]
翻訳
内容説明
クリスティーヌ・ド・ピザン(1365年‐1430年頃)は百年戦争、大教会分裂など時代の転換期にペンで身を立てた初の女流作家である。従来のクリスティーヌ評価が「女性の名誉と女性の権利との勇敢な弁護人」(ホイジンガ)というフェミニスト的イメージに偏りすぎるとして、著者は写本挿絵中のクリスティーヌの服飾に注目するなど、彼女の多様な活動の全体像に迫った。欧米では彼女への関心が高まっているが、わが国ではほとんど知られず研究もわずかである。本書はピザンへの格好の手引きとなろう。
目次
あるイタリア女性の物語
運命と教育、あるいは教育を受ける運命
恋愛詩と宮廷趣味
「女性論争」
先駆者クリスティーヌ
青衣の婦人
写本挿絵という鏡のなかで
鋤と鏝をつかって
女子教育
衣裳と評判
教育のために
戦争と平和
注文主、受取人、そして読者
クリスティーヌと同時代人
クリスティーヌと後継者
著者等紹介
ムッツァレッリ,マリア・ジュゼッピーナ[ムッツァレッリ,マリアジュゼッピーナ][Muzzarelli,Maria Giuseppina]
1951年ボローニャ生まれ。現在、ボローニャ大学文学部教授。専門は中世史と都市史。中世イタリアの経済やユダヤ人、説教、女性、服飾、食物などに関する多数の著作・論文がある
伊藤亜紀[イトウアキ]
1967年千葉県生まれ。1999年お茶の水女子大学大学院人間文化研究科比較文化学専攻修了。現在、国際基督教大学教養学部上級准教授。専門はイタリア服飾史と色彩象徴論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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松本直哉