感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Inuko
11
禅僧である著者は、コンパッション(自分自身や相手と共にいる力)を、苦しむ者を解放する地蔵菩薩の姿になぞらえる。この菩薩は誰の心の中にも目に見えないかたちで埋め込まれているという。自分にとってはイエスの姿とぴたりと重なる。それは、他者の幸福のために深い思いやりと気づかいを自然と向けられる人になりたいという願いにつながっている。苦しみとともに在るための資質が5つ挙げられており、それぞれに共通して、知ったつもりにならない、ありのままを見届ける、生きとし生けるものが相互に結びついている意識が大切だと受け取った。2021/10/09
hisa
5
Compassionは「共感」と訳されるが、本書ではそのまま「コンパッション」とされている。細かいニュアンスが日本語の「共感」とは違うからだ。本書全体を通して語られるのは、コンパッションの立ち位置が時として不安定になることだ。コンパッションの現れである利他性も、時には燃え尽きに繋がるようなものになってしまう。相手に飲まれるのでもなく、無関心になるのでもない。自分自身の心が安寧でありつつ、相手に対して慈しみの心を向ける。言葉で語るのは簡単だが、実際に行うのは難しい。2020/04/29
ゆーや
4
2020年11冊目。自社本のため割愛。2020/05/04
めがとろん
3
著者を知らず、経歴や紹介から宗教的だと疑いながら読んだら良書だった。子供の頃病気を発症し人からの偽善的な行為を嫌悪した経験から、私は何も考えず反射的に親切な行為をしてすぐその事を忘れる。そうありたいと生きてきた。が、親しくなった友人に複雑な思いを抱いたのを発端に悩んでいた。それら全ての悩みの答えが書いてあった。私にとっては大切な一冊となった。SNSに日々溢れる間違った共感もこの本を皆が読んで理解すればなくなる。多くの特異な事例と、コンパッションという訳語出来ない言葉でハードルが高くなってしまうのが残念。
ぽんた
2
共にいる力としてのコンパッションを利他性、共感、誠実、敬意、関与の5つの要素で考えている。 かなり仏教的な観点が強く、具体的な事例ベースで語られるので読みづらく感じる人もいそう。2020/08/20