感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yumicomachi
2
人の、世の中の、心の、仄暗い部分を品格ある言葉で詠む作品が多い。ときに優しく、ときに鋭く深く。〈はなびらは吹き込みやがて屈葬のごとく眠れる少年の辺へ〉〈掌をふかくひたしてすくふとき沈没船のごとく豆腐は〉〈薔薇窓の光と影を集めたつ樫の一樹を見下ろしてゐつ〉〈屋上に鳩舎もちたし紺瑠璃の空にふれたる白鳩あつめ〉〈灯にまみるる大きツリーを見下ろしぬ死者も見てゐるそのてつぺんを〉〈だがやがてホテルの部屋の番号のやうにあなたを忘れる日はくる〉等。川野里子、榎田尤利が栞文を寄せている。2024年1月17日刊。第三歌集。2024/01/25