著者等紹介
永井祐[ナガイユウ]
1981年、東京都生まれ。18歳ぐらいのころ短歌を作りはじめる。サークル「早稲田短歌会」に入会。水原紫苑の短歌実作の授業に参加。2002年、北溟短歌賞次席。2004年、歌葉新人賞最終候補。ガルマン歌会などを中心に活動。2007年、「セクシャル・イーティング」に参加。2008年、「風通し」に参加。2012年、『日本の中でたのしく暮らす』(BookPark)刊行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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だいだい(橙)
17
肩の力を抜いて、リラックスして読めた。それでいて、後にじわっと残るものがあって、好き。永井さんらしい、ただごと短歌。大上段に構えない、等身大の、難しい言葉も一切ない、飾らない短歌。いいなあ。そしてこの歌集のたたずまいがいい。軽くて、薄くて、それでいて中身は詰まってる。読む者に負担を与えないって、大事だなと思った。また永井さんの歌集、読みたいな。2023/03/12
あや
8
81年生まれという著者。詠まれた年代はわからないがバイトという語がたびたび出てきて正規雇用ではない暮らしが伝わる。これが時代の諦念かと思うと同時にその中で明るい方向に視線を向けようという姿勢には好感が持てるが共感しない歌が多いのは私が上の世代でまだバブルの残り香を味わった世代だからであろう。2020/04/16
シロクマぽよんぽ
6
当たり。一見誰でも作れそうに見えて、実はよく作り込まれている。例えば「マンションのひさしで雨をよけながらメールを書いている男の子」なんかは、並の歌人なら「メールを打っている男の子」とするはず。よく読むと、技巧面でこういう仕掛けが多い。短歌世界としては、主体の身体性も感情も感じられないし、世界のすべてが他人事っぽいような印象。セカイ系が「きみとぼく/(社会領域の省略)/世界」ならば、この歌集は「無関心なぼく/(社会領域の省略)/世界」という構造か。この淡々とした感じを、短歌というメディアで表現したのが斬新。2022/02/18
🈳
6
81,101 お散歩好きそうって勝手に親近感を抱いてたけど、わたしは建物のない高いところを選ぶからちょっとちがうな 猫好きそうなのに猫の歌全然なかった 字数のためでも外人って詠んだりしたくないと思った 言葉に救われてきたぶん言葉を大切にしていたい 理想とする君との関係がみえた気がする、しわかる気がした「今日は寒かったまったく秋でした メールしようとおもってやめる する」わたしの人生ってだいたいこんなかんじ 会わなくても元気だったらいいけどなって思えるようになりたい、わたし2021/07/17
misui
5
東京に暮らす20代くらいの男性の姿が浮かぶ。「ちょうどよく重たいものが乗っている そういう気分で毎晩ねむる」そのようにして重みを確かめながら書き留められる日常、風景。「食事の手とめてメールを打っている九月の光しずかなときを」「夕焼けがさっき終わって濃い青に染まるドラッグストアや神社」「看板の下でつつじが咲いている つつじはわたしが知っている花」2024/02/08