感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はち
4
読了まで三日かかった。重厚、というと少し違うか。東京と大阪を行き来する暮らし。そして時折自分の中にもう一人いるような…。2011年以後の作品なのだが、震災にはほぼ触れられていないのも特色。原子力発電所に触れられているものはあるが。これはおそらく意図したものなのだろうな。冷静に、あるいは冷徹な視線を感じる。その視線は外に、自分の内にも向けられる。時に現実に、時に夢想に。その歌の力に限りはないのだろうか。2015/09/11
Kaoru Murata
2
技術者として充実の日々を送る作者。鉄道の歌が多いのも嬉しい。/ぎんいろの丸ノ内線が露出部をゆくときのきれぎれの眠りは/性技にのみその名残すと思ひゐしがこの駅の弁当は抱へて売り歩く/みづのなかをゆくここちして目をとぢる徐行にて過ぎる三河安城/わが書きし函数が最も速きこと確かめてあれど したがふ/いくたびが光のはしる川向かう対地放電百メガボルト/ゆるきカーヴは貨物ヤードにわかれゆく錆いろのなかのぎんいろ二条/社宅跡に社宅は建たず発電用パネルならんで昼をはたらく2015/11/05