出版社内容情報
村上 政彦[ムラカミ マサヒコ]
著・文・その他
内容説明
女誰かの家の二階に集って織物、刺繍、縫い物、布鞋作りなど女紅と呼ばれる手仕事に従事する。そこで女書によって詠んだ詩を歌い、年配になれば自伝を書いて詠じた。女たちは、文字によって現実とは違う世界に遊び、苦しみや悲しみを発散した。彼女たちは苦しみや悲しみで縒った糸を文字にする。文字は涙である。詩や自伝という形式は、その涙を溜める袋である。彼女たちは、女書を習得することで涙の袋を抱え、そこに涙を捨てていたのだ。そして涙は笑いに変えられた。これは男性や親から抑圧され、不自由な身の上をかこつ彼女たちにとっては少なからぬ救いだった。
著者等紹介
村上政彦[ムラカミマサヒコ]
1958年、三重県生まれ。作家。業界紙記者、学習塾経営などを経て、87年「純愛」で福武書店(現ベネッセ)主催・海燕新人文学賞を受賞。日本文藝家協会常務理事。日本ペンクラブ会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いちろく
24
女性たちの間に伝わる秘密の文字「女書」を巡る物語。90年代の日本から始まるルーツを探る内容は、中国大陸へと渡り、過去へと遡る展開を経ていった点で興味深かった。詳細を省きネタバレは控えるけれど、終盤の現代の今を活かした収束と文字が息づく様は凄いと思ったのも事実。一方で、時世的な様相を取り入れたのは、作品自体をコロナ文学というカテゴリに加える点にもなり、残念。文字を追うルーツの内容としてだけで楽しみたかった部分も正直ある。2022/11/23
げんさん
1
女書は発見されて間もないので、まだ謎が多い。漢字から派生した文字で唐代以降に成立したと推測される。約一千種の文字を持つ表音文字で、湖南省では、漢字を男書、女文字を女書と称して、2つの文字体系があった。 知らない世界を観るのは楽しい。2024/10/11
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