内容説明
「季刊文科」誌に掲載されたエッセイを中心に、夫・吉村昭の没後に追悼企画として収録した大河内昭爾との対談、自身の半生を語った中沢けいとの対談なども収録する。
目次
あの頃
火事明り
二人の智恵子
遊園地
未練の一作
追悼「吉村昭」対談(津村節子×大河内昭爾)
弔辞(大河内昭爾)
女流文学者会の終焉
二本の歯ブラシ
青葉の季節
活字と映像
再会
ベッドの物入れ
はいれない店
変わった人種
戦艦ミズーリと、武蔵
観光地のあり方
海に流した手紙
しあわせ ベンチ
見えなくなった影
虹色のあじさい
片眼の世界
二人旅
長い道のり
延命
偲ぶ会
八十六さいの高校一年生
飛脚の末裔
移り征く年月
井の頭池かいぼり
ひとりごと
忘れられない店
飛脚の失意
津村節子の時代 対談 津村節子×中沢けい
追悼・瀬戸内寂聴 必死だったあの時代
著者等紹介
津村節子[ツムラセツコ]
1928年福井市生まれ。学習院短期大学国文科卒。1953年吉村昭と結婚。1964年「さい果て」新潮社同人雑誌賞受賞。1965年「玩具」芥川賞受賞。1990年『流星雨』女流文学賞受賞。1998年『智恵子飛ぶ』芸術選奨文部大臣賞受賞。2003年恩賜賞・日本芸術院賞受賞。2011年「異郷」川端康成文学賞、『紅梅』菊池寛賞受賞。日本芸術院会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ソングライン
13
自選の短篇、夫吉村昭の追悼対談、夫との出会いと彼の制作のための緻密な取材そして晩年を過ごした吉祥寺の街について語るエッセイが載ります。クラスで嫌われる気の強い女の子の悲しい境遇が切ない「火事明り」、父の愛人と知らず遊園地を一緒に過ごす少女の楽しい時間が突然に恐怖に変わる「遊園地」が印象に残ります。2022/11/12
はね
3
津村節子氏は私が初めて好きだと思った作家さんである。子供が母親に棄てられる「ランドセル」という容赦ない短編が怖かった。ずっと氏の作品を読み続けているうちに、作品に私と夫と同じ名前の夫婦が出てきたり、私の住まいの最寄りの駅が出てきたりで嬉しかった。銀座丸善のサイン会にも行ったことがある。最近の津村氏は思い出エッセイを発表するようになり、この本も夫吉村氏が亡くなってからの随筆集であった。吉村氏は淡々とした文体の中臨場感を感じさせる素晴らしい小説家なので、作品を多く読んでみたいと思う。2022/12/06
peace land
2
今までづっと日本文学を読んできたけれど、その道筋をたどるような気がした。出てくる出来事も作家の名前も、懐かしい名前ばかりだった。90代でも気力があればこんな人生を送れるのかと素晴らしい。2022/08/10
山内正
0
見られてる気がすると母が父に言う あの紫陽花の陰でと 寝たきりの祖母の面倒で掃除も思うように 任せない 電話に出ると切れるし 母が実家に泊まった日父は長電話していた 父の居ない日、ママはいらっしゃる?と 女の声か 母は苛立った声で切った ママに頼まれてねおばさんのマンションで 待ちましょと連れて行かれた 秘密よ友達に誘われたとね 家に戻ると母に叱られた 学校の帰りタクシーから女が手招きし 遊園地へ パパは優しい?ママは怖い? 観覧車に乗りこの頃喧嘩しないと そうと言って後に立った いつの間にか下降初めてた2023/05/11
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