『新文体作法』序説 - ゴーゴリ『肖像画』を例に

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  • サイズ A5判/ページ数 168p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784862657053
  • NDC分類 816
  • Cコード C0080

出版社内容情報

日本語で自らの考えを相手に明確に伝えるためにはどうすればいいのか、 A I 時代の今、そのことに悩む人は少なくない。本書は概念「ある」 をもとに日本語の成り立ちを解明する驚くべき文法書。ロシア文学翻訳家でもある筆者の手により、今、ゴーゴリを新文体で読むことが可能に!

……そのためにしなければならないことは、日本語の限界と可能性を明らかにすることです。それが明らかになれば、日本人は日本語でより論理的に思考できるようになります。そして文法を正しく理解したうえで新しい文体が確立されれば、文芸をはじめとする様々な分野で新しい日本語文化が生まれてくるでしょう。そのようになることが、本書の執筆へと筆者を駆り立てた切実な願いであるのです。
(本書あとがきより)

はじめに

第一章 日本語を支える背骨―‘ある’
 1.詞の種類
  1.1 実体と属性
  1.2 陳述をする力と述定をする力
 2.‘ある’は概念の世界から詞の世界への橋渡し役
  2.1 概念‘ar’と詞形成素材
  2.2 動的な概念の表記の仕方
  2.3 ?れる?と?られる?および?せる?と?させる?
  2.4 a音とar音脱落のメカニズム
  2.5 動的概念要素〈aru〉の活躍
  2.6 概念‘ない’のはたらき

第二章 運動のとらえ方
 1.動的属性としての運動
  1.1 動的な概念と概念‘ar’
  1.2 〈ある1〉と〈ある2〉
  1.3 〈動的事実〉と〈うごき〉
 2.〈動的事実〉と〈うごき〉の存在についての指摘
 3.〈動的事実〉と〈うごき〉の事実としての確定
  3.1 確定辞「た」
  3.2 複数の運動の時系列的把握
  3.3 静的属性の事実としての確定
 4.??て?する?という表現形
  4.1??てある?と??ている?
  4.2 その他の??て?する?という表現形

第三章 発話
 1.発話にいたるプロセス
  1.1 発話以前
  1.2 発話
 2.主題の提示
  2.1 辞「は」の主題提示のはたらき
  2.2 主題の「総体提示」と「とりたて提示」
  2.3 辞「は」のピリオド越えとは
 3.客体と運動主体の明示
  3.1 辞「が」のはたらき
  3.2 客体標識辞「ガ」
  3.3 主体標識辞「が」
 4.辞「は」の主題提示以外のはたらき
  4.1 対話者の標識
  4.2 前提条件の設定
  4.3 述定内容の再主題化

第四章 文末の形
 1.存続概念要素〈aru2〉放出現象
 2.?だ?と?です?
 3.動的属性述定詞の推量形

第五章「陳述」と「述定」の相互転化
 1.述定文から陳述部材または陳述文もしくは新たな述定文へ
 2.陳述部材または文から新たな陳述文または述定文へ
 3.とりたての助詞

第六章 文の種類
 1.文の構成
 2.文の分類

第七章 話し手と聞き手のいる空間
 1.「対話空間」、「舞台空間」、「客席空間」
 2.話し手と聞き手の性格付け

第八章 話し手をどう表すか
 1.?吾輩?は?わたし?であるのか
 2.「わたし」は実体指示詞である。

実証編 新文体で読むゴーゴリ

おわりに

齋藤紘一[サイトウコウイチ]
著・文・その他