内容説明
ゲーテと『ファウスト』の魅力を掘り下げる。詩人ゲーテの大作をその内部の想像力の働きにそくして読む。齟齬と齟齬のままに、多様な世界それぞれが持つ固有な魅力を探り、照らし出す。部分と全体との関連をも重視。
目次
『ファウスト』の多層性―「序」にかえて
ファウスト文学に現れた“飛行”のモチーフ―『ファウスト』前史
“飛行”と悲劇―『ファウスト』悲劇の原型
ファウストと近代の時間―『ファウスト第一部』における「時間」の諸相
ファウストとグレートヒェン―「グレートヒェン悲劇」の本質と意味
道化メフィスト―『ファウスト』における道化的視点の意義
宮廷世界と道化の知恵―『ファウスト第二部』第一幕、「宮廷」の場
神話と自然―ヘレナ劇の誕生
トリックスターの彷徨―「古典的ヴァルプルギスの夜」のホムンクルス
ヘレナ劇はどこで演じられているのか―ヘレナ「現実性」をめぐって
山と海、そして火と水―第四幕の構図
プロメテウスの末裔 悲劇、死、そして救い―第五幕解釈の試み
死と再生、あるいはファウストと自然―ファウストはいかにして救われるか
著者等紹介
田中岩男[タナカイワオ]
1950年、北海道に生まれる。1975年、東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程(ドイツ文学専攻)修了。母校の弘前大学人文学部に採用され、助手、講師、助教授を経て、弘前大学人文学部教授(思想文芸講座)。論文「“病める王子”の快癒―『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』試論」(『ゲーテ年鑑』第31巻、1989年)により日本ゲーテ賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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