内容説明
ピューリッツァー賞作家の表題作、O・ヘンリー賞受賞作など、英米文学「怪奇小説の世紀」に輝いた女流作家8人の傑作選。イギリス編『鼻のない男』に続く、アメリカ編。
著者等紹介
梅田正彦[ウメダマサヒコ]
1931年、兵庫県に生まれる。若くしてアメリカに留学し、英米文学を専攻。1956年、ネブラスカ大学よりマスター・オブ・アーツの学位を受ける。その後カナダに移住してカナダ国籍となるが、1971年、再びアメリカに戻る。以後、カリフォルニア州に在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
36
ゴシック恐怖小説の『黄色い壁紙』で有名なギルマンの『揺り椅子』の唯一無二だと互いに信じ切っていた二人が一人の少女に恋してしまったことからの離別が待っていた哀しき結末に対して、その少女の正体が仄めかされている所が怖い。『なかった家』の不気味な逸話と事実に反する存在性、入ろうとする妻と怯えて逃げ出す馬の対比に凄く、ぞっとします。『幻覚のような』の嘘か真か、狂気か正常か境目が人によってどんどん、分からなくなっていく混乱さと因果応報的な結末が印象的です。2013/10/06
meri
22
翻訳の日本語がとても不自然なので読みにくい。ギルマンの「揺り椅子」、ギャザーの「成り行き」、ウォートンの「ざくろの実」を中心に読了。個人的にギャザーの作品は原文で読んだら面白いだろうなと思った。2015/10/10
内島菫
17
本書は、以前読んだイギリス女流作家怪奇小説選『鼻のある男』と対になるアメリカ版の女流作家怪奇小説選。どれも男性への違和感が怪奇現象と繋がっているように思える。幻の美少女をめぐっていがみ合う男たち、弟の死の間際でも弟を責める兄、自他の境をなくす妄想に支配される夫、自身の未来(同時に、死んだ彼の弟を通して過去にも)につきまとわれる男、妻を囲い込もうとする夫(妻に殺される夫)、死の国にいる先妻に半身をとられた男、そんな男たちが主にそばにいる女性たちの目を通して、何かに憑かれている不可解な存在として描かれる。2020/12/10
アカツキ
8
短編8作収録。どの話も良くて、特にこれと挙げるのは難しいけれど、「青い男」は再会の喜びがストレートに伝わってきて良かった。新婚の夫に送られてくる謎の手紙と対決する「ざくろの実」は、いよいよ…というところで、結末を匂わせて終わってしまう。そこが気になるのに!2019/11/20
timeturner
4
表題作とM・W・フリーマンの「壁にうつる影」は既読。「黄色い壁紙」で知られるシャーロット・パーキンズ・ギルマンの不思議な怖さがある「揺り椅子」、カナダの北極諸島らしき島を舞台にした「青い男」が印象に残った。2022/02/19