内容説明
政治学者にしてジャーナリストでもある著者が、カナダの首相をめざして自由党から出馬して当選。党首選も勝ち抜いたが、次回総選挙で自由党は惨敗、自身も落選した中で考えたこと、学んだこと、そして今思うこと。
目次
第1章 傲慢
第2章 野望
第3章 僥倖
第4章 部屋を読む
第5章 金銭と言語
第6章 責任と代表
第7章 当事者適格性
第8章 敵と対抗者
第9章 タクシー・ドライバーが言うには
第10章 天職
著者等紹介
添谷育志[ソエヤヤスユキ]
1947年生まれ。明治学院大学法学部教授。専攻:政治学・政治理論
金田耕一[カナダコウイチ]
1957年生まれ。日本大学経済学部教授。専攻:政治学・政治理論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
3
「誰でもひとたび政界に入るとつねに衆目にさらされている。列に割り込んだり、運転手やウエイトレスやチェックイン係に苛立ったりしてはならない。自制心を失ってはならない。…選挙戦が終わるまで、私生活をまるごと放棄しているのだ。人びとに監視されているのである。…良き政治家は、解説書では学ぶことができないような国に関する知識を身につけるようになる。彼が知ることは、どのように住民が場所を形づくり、どのように場所が住民を形づくるかについてである。ほとんどの形態の政治的専門知識は、地元に根差した知識ほどには重要ではない」2024/08/15
馬咲
3
政治学者から一転、傾いた自由党再生のためカナダ政界に身を投じた著者が成功と大失敗から得た政治観を綴った回顧録。著者は自身の経歴への保守党の個人攻撃的広告戦略の有効性を苦々しくも認め、有権者の投票基準は政策綱領よりも候補者の「当事者適格性」にあるとしている。適格性とは「話に耳を傾けてもらう特権」であり、政治家はこれを有権者から獲得し続けなければならない。ただし、政党政治自体が適格性を奪い合うゲームと化せばデモクラシーは困難になる。各党派は議論で妥協可能な対抗者であっても、問答無用の「敵」であってはいけない。2023/02/10
すってんころりん
0
【☆3】某政治家のブログで紹介されているのをたまたま読み、手に取ってみた。 ハーバードの政治学者である著者は母国カナダの一政党党首となる。そして、党首として挑んだ選挙で大敗し、自身も落選してしまう。その経験をもとに記されたのが本書。政治不信が拭えない中、それでもなお、政治を擁護してみたい、と思いに駆られていたので、良い本に出合えた。以下、著書の引用をいくつか。2020/05/10