出版社内容情報
本書は、長谷川テル(1912-47、エスペラント名はヴェルダ・マーヨ:Verda Majo、中国名は緑川英子、以下、略記する場合はテルとする)の著作を網羅することを目指して編んだ著作集である。
長谷川テルは、1932年にエスペラントを学び始め、きわめて短期間で習得し、1933年以降はほとんどの著作をエスペラントで書いたエスペラント作家である。34年という短い人生だったが、著書二冊、訳書一冊、雑誌記事多数を残した。長谷川テルの作品群は、短歌、小説、論説、散文詩、評論、翻訳など多分野にわたり、執筆時期では、1931~37年の日本時代と1937~45年の中国時代に分かれる。
テルの著作の公刊の媒体は著書か雑誌である。発表年順に並べる方法もあるが、著書として出版された主著を前に置き、そのあとに論説などのうち著書に収められなかった著作を年代順に並べることにした。したがって、第Ⅰ部に「戦う中国で」(1945年)、第Ⅱ部に「嵐の中からささやく声」(1941年)を配置し、そのあとの第Ⅲ部に日本時代の著作、第Ⅳ部に中国時代の著作(著書を除く)を執筆年代順に載せる。翻訳は原則として除いたが、テルの思想形成に影響を与えたと思われるものは収録した。また、著書に収録された、関係者の著作も収録した。
【目次】
編者まえがき
長谷川テルの生涯とその思想
第Ⅰ部 戦う中国で
序 章 晩春の別れ
第一章 上海で
第二章 南へ
第三章 広州で
あとがき
第Ⅱ部 嵐の中からささやく声
ありふれた思い出(劉仁著)
すこしばかり(ヴェルダ・マーヨ)
平和のハト(エルピン著)
愛と憎しみ
中国の勝利は全アジアの明日への鍵である――日本のエスペランチストへの手紙
暴政の国――日本
全世界のエスペランチストへ
なくなった二つのリンゴ――病床で――
五月の首都で
代用品時代――戦時下日本の風物詩――
冬来たりなば春遠からじ――マンガダ同志にささげる――
日本の学生のプロフィール
女性は戦いながら前進する
戦時下日本の女性労働者
エスペラントと民主主義
民主主義世界の不幸
憎しみから生まれるもの(宋之的著)
第Ⅲ部 日本時代の著作
晩春初夏誦
片隅の秋
『吾妹』掲載短歌
ぬかるみ
春の狂気
六ヵ月
日本文学小史
日本の女性の状況
エスペラントで書くか民族語で書くか?――エス文学に関する乱想の中から――
若い男女のエスペランチストの独り言
この前の日食について
日本プロレタリア文学の現状
タギージョへの手紙
『洋学年代記』上演
日本文学者との懇親会
こんにちは
富士山はどのようにしてできたか
東京の労働者街で
エスペラントで日本の子どもをどう呼ぶか
チンドン屋
日本語
この前の台風
貧困
日本の乗り物
ゴーリキー戯曲の上演
「ヨハン・コルベイ」について
ヨハン・コルベイ
第Ⅳ部 中国時代の著作
心の底からの声――中国人に嫁いだ日本女性の手紙
心のまっすぐな人――遊撃隊の母との会見記
日本の友人からの慰労の手紙――緑川英子が我が前線兵士に送る書
九・一八記念 故国の同胞に告ぐ――九月十八日の夜、日本への放送――
まったく
内容説明
テルが憎んだのは戦争そのものだった。反戦平和のために闘ったテルの原動力とは?著作と共に振り返る。
目次
第1部 戦う中国で(晩春の別れ;上海で ほか)
第2部 嵐の中からささやく声(ありふれた思い出(劉仁著)
すこしばかり(ヴェルダ・マーヨ) ほか)
第3部 日本時代の著作(晩春初夏誦;片隅の秋 ほか)
第4部 中国時代の著作(心の底からの声―中国人に嫁いだ日本女性の手紙;心のまっすぐな人―遊撃隊の母との会見記 ほか)
第5部 資料(けちんぼう;「グルッペ抄」掲載短歌 ほか)