内容説明
中世の少女はこうして大人になった!絵巻物・物語文学をもとにして中世(古代)の女たちのライフサイクルとセクシュアリティに肉薄。
目次
1 中世絵巻にみる庶民女性の生活誌(史料上の困難を突破する;少女から大人へ;日々の仕事と「女の領域」;中世女性の奉仕と従属の姿;男の立場・女の立場)
2 都の女と東国の女―中世の貴族・女房・美女・下女の世界(女性と政治をつなぐ「夢の話」―『蜻蛉日記』『曾我物語』の共通する文化とは?;女房のトイレはいづくにありや―平安京の便所と寝殿造の謎;平安京の密通・婚姻・売春事情―宮廷の「好色」文化と職業としての「好色の道」;下女の恋愛と呪詛―東国の「女の世界」とグリム童話「つぐみの髯の王様」の共通点)
3 中世民衆のライフサイクル(人は生まれながらに平等ではなかった;「童」の時代;「若」の時代;「老」の時代;受胎調節と婚姻暦の風習)
付論 中世の子供の養育と主人権
新装版・付論 拙著『中世の愛と従属』への批判に応える―大路での出産について
著者等紹介
保立道久[ホタテミチヒサ]
1948年東京都生まれ。国際基督教大学を卒業後、東京都立大学大学院人文科学研究科修了。現在、東京大学史料編纂所長を経て、同教授。平安鎌倉時代史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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AR読書記録
5
一番印象に残ったのは、鎌倉時代の胡蝶なる女性が提出した訴状(がのちに日蓮上人によって裏紙として使われ今にまで伝わったという)の話で、このあいだ読んだ本でも、寺に残っていた室町時代の過去帳によって、中世の大勢の市井の人々の氏名や生涯がわかったとあったりして、貴族や有名人でなくても生きた痕跡って存外残るものだなあ、としみじみ興味深い。まだまだこれからも新しい発見もありえそうだと思うと同時に、人知れず失われた貴重な記録もまた多いだろうな。本の感想とはどんどんずれるけど、『今昔物語』とか、ちゃんと読みたい。2019/06/03
邑尾端子
4
日本中世の女性史を扱う研究は少ないが、中でも、大名クラスの妻などではない庶民の女性、とりわけ中世という身分制社会における従属身分の女性を扱ったものは特に希少である。使用人同士の間に生まれた赤子の使役権が、女の子の場合は女(母)の使用人の主、男の子の場合は男(父)の使用人の主に帰属したのは、同種の労働力を担保するという意味があった。2016/11/20
かずさ
0
大河ドラマの影響か図書館に平安コーナーができて、その中にあった一冊。読む前は貴族女性の生涯を知りたがったが、この本はどちらかというと庶民や京都を離れた東国女性の話が中心。それはそれでドラマでは語られない歴史が知れて面白い。興味深かったのは「裳着」というと貴族女性が裳をつけるのを想像するが庶民女性にはエプロンのような褶が該当すること。女房といえば宮廷に仕える女性を思い浮かべるが地方の領主の館もそう呼ばれた女性がいたこととそれは容貌が優れた「美女」が採用されていたこと。2024/01/24
いきもの
0
図書館。教養を得たくて手に取った本。前書きを読んだ時点で予感してたけど、思ったよりも専門的な本だった。中身は読みやすく、たぶんこの手の本の中では相当万人向けとは思うけど、前提知識のほとんどない身には難しかったです……。知らない知識をいっぱい仕入れた気持ち。2021/12/17
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- 和書
- 基礎有機化学実験