内容説明
真実の政宗の人となりを知る史料として、厖大な手紙があったことはあまり知られていない。小田原参陣に遅れ秀吉から仕打ちを受けたとされる政宗が、秀吉に宛てた手紙。また、母を想う気持ちに溢れた手紙などなど。手紙は人を映し出す鏡である。中でも自筆の手紙は、本人が自ら筆を執ってしたためたものであり、その人柄がおのずと滲み出てくる。戦国武将のなかでも、独眼竜の異形で知られる伊達政宗、一般歴史書や時代小説、そしてテレビや映画では容易にうかがいしれない猛将の素顔に肉薄した戦国ファン待望の名著。
目次
第1部 戦国武将から仙台藩主へ(天下をめざして;戦国への挽歌;朝鮮から;仙台藩を築く)
第2部 素顔の政宗(子どもへの手紙;家臣への手紙;趣味と教養)
著者等紹介
佐藤憲一[サトウノリカズ]
1949年宮城県生まれ。専攻=日本近世・近代史。1971年東北大学文学部史学科を卒業。同年4月より仙台市博物館に学芸員として勤務。学芸室長、仙台市教育委員会文化財課長、仙台市博物館副館長を経て、2001年4月に博物館長となる。2009年3月定年退職。現在は、仙台市博物館嘱託(市史編さん室)、仙台市史編さん専門委員、大崎市文化財保護委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yyrn
11
四百年前に書かれた手紙が千通以上も残っているなんて。秀吉の天下統一に向けた小田原城攻めの召集に白装束で対面した場面のやり取りが残されていたり、嫌々出兵した朝鮮から宮城にいる母親に宛てた手紙が残っていることにも驚いた。また母親や子どもに対する細やかな愛情や、信頼する部下たちへの気遣いを感じさせる手紙が残る一方で、厳しく部下を処罰したり、二十代のころは次々と隣国に攻め入り、相手の女子どもまで皆殺しにする残忍さも持っていたとは。そうしなければ逆に自分たちがやられるという厳しい世界がそうさせたのだろうけれど・・・2018/09/11
ちゃみ母
2
独眼竜の強烈なイメージが変わりました。大胆でありながら、繊細で緻密で、心配りの行き届いた人物。文化的な教養も深い。ますます面白く、惹かれます。達筆だし、素敵。2017/04/18
宙乃(そらの)
2
朝鮮より母上にあてた手紙が印象深い。コレだけ見ると不仲には見えない。むしろすっごい仲良さそう。 そして政治でも家族、臣下宛の私的な手紙でもすっごく細かい(笑)繊細な気配りとも細やかな気遣いとも言えますが。そしてせっかちとゆーか時は金なりとゆーか即日!な感じの手紙の数々。超筆まめ。 そして和歌・漢詩から小姓の身嗜みに侍女の健康診断まで、全部お手紙。自筆。残ってる数も多いけどもっといっぱい書いてたらしいとか。 ああもう政宗様って…!2011/03/04
fuchsia
2
字が上手(かなりのレベル)で、結構細かい人であるというのが微笑ましかったが、長男と和解できて良かったと思う。2010/03/14
Takamitsu Tsubo
1
最後の戦国大名、伊達政宗。 彼に憧れ親近感を持つ日本人はきっと多いことでしょう。僕もその1人です。 子どもの頃に見た大河ドラマ独眼竜政宗を入り口に伊達政宗の生涯に興味を持ち影響を受ける人生を決定付けられました。 そんな伊達政宗の遺した直筆の手紙を紹介し、彼の横顔や伝わらない真の姿にスポットをあてるのが本書のコンセプトです。 新書なのに異常に高い価格以外は文句の無い本。 曇りなき心の月をさき立てて 浮世の闇を照らしてぞ行く 馬上少年過 時平白髪多 残躯天所許 不楽復如何 2014/09/29