内容説明
ヒビ、錆び、剥がれ、シミ、痕跡…。ありふれた壁に潜んでいる、偶発的な美しさとドラマ。壁写真家、初の壁写真集。壁を見るのが楽しくなる壁コラムや壁鑑賞の手順、壁素材解説も収録。
目次
1 壁をあじわう(壁アルバム)
2 壁としたしむ
著者等紹介
杉浦貴美子[スギウラキミコ]
1974年愛知県生まれ。壁写真家。テキスタイル作家活動を経て、壁を撮るように。平面構成と色に対する執着はテキスタイル作家時代から、ミクロ目線は幼少から。2008年CET(セントラルイースト東京)にて壁の作品展示&ワークショップを開催(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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コットン
84
地球に対して垂直な平面を壁と定義してその壁の写真集で今風な最先端の壁では無く、子供のボール投げによる汚れや経年による塗装の亀裂、サビや地衣類(菌類と藻類が共生関係を結んでできた複合体)のはびこりなどが被写体のメインどころ。そんな壁ばかりの写真を一言で言えば生活感のあるアートと言えなくもないと思います。装丁がいいなと思ったら和久井直子さんだった。著者は数年後に『地図趣味。』という面白い本も出されています。2022/10/13
あじ
28
ここに赤ちゃん肌の壁はありません。写真に切り取ったのはにきびと吹き出物、シミソバカスに侵食された壁ばかり。見つめて触って“チャームポイント”を愛でるナチュラルアート作品◆「地図趣味」という著作もお薦めです。2020/05/30
kinkin
26
目からウロコの一冊。壁はただの壁であるが、見方を変えた瞬間からそれは、 パウル・クレーやジャクソン・ポロック、ミロと劣らない作品になってしまう。壁という人工物と雨や風、付着物、材質のエージングといった自然現象の共同作品ということに驚いた。2014/08/08
tom
19
著者は壁を写真に撮る。最初はベルリンでみつけた壁。以来、被写体となる壁を探して、カメラ片手、マクロレンズを持って町中を歩き回る。こういうことをしていても、人にカメラを向けるわけではないから、単なる怪しい人・不審者にすぎない。なるほどねえ、こういう「楽しみ」を見つけて遊ぶ人がいるのだと思ったのでした。自分にとってのお気に入りの被写体を見つけた著者がけっこううらやましい。私もなにか見つけたいと思うけれど、凡人には、こんなことが難しい。2023/03/04
ふろんた2.0
13
壁が少し朽ち始めたところに、その歴史、ドラマがある。それを気づかせてくれる写真集。これで、街の壁も気になってしょうがないじゃないか。2015/03/14