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暴走するセキュリティ

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  • サイズ 新書判/ページ数 189p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784862483683
  • NDC分類 368.6
  • Cコード C0236

内容説明

過剰な不安が不幸な社会を招く!凶悪犯罪から子どもの安全を守るため、監視カメラや防犯パトロールなど、いたるところに防犯システムが張りめぐらされている。だが、人の生命が犠牲になるような事件は、まったく増えてなどいない。変わったのは、ありもしない「治安悪化」に怯え、過剰なセキュリティを求める社会のあり方である。実体のない不安が厳罰意識を肥大化させ、誰もが不審者とされる相互不信を招いている。

目次

第1章 凶悪犯罪者たちへの共感と恐怖(宮崎勤事件の“前”と“後”;アキバ通り魔事件とロスジェネ)
第2章 少年法と刑法三九条をめぐる困難(「凶悪化する少年たち」というウソ;刑法三九条の罪 ほか)
第3章 セキュリティが長閑な日常を破壊する(過剰な防犯意識、悪化する体感治安;痴漢冤罪事件と監視カメラ)
第4章 暴力の排除が生み出す厳罰社会(「善」なる被害者、「悪」なる加害者;暴力に回帰する権力と死刑)
特別対談 暴走する民意と権力(萱野稔人×芹沢一也)

著者等紹介

芹沢一也[セリザワカズヤ]
1968年東京都生まれ。1992年、慶應義塾大学文学部卒業。1998年、慶應大学大学院社会学研究科博士課程修了。専門は日本近代思想、現代社会論。犯罪や狂気をめぐる歴史と現代社会との関わりを思想史的、社会学的に読み解いている。メールマガジンとセミナーで情報提供を試みる知の交流スペース「シノドス」代表。慶應義塾大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Mealla0v0

4
前著『ホラーハウス社会』では、少年犯罪と精神病者の犯罪をめぐる言説の変化が中心的に論じられていたのに対し、本書はより包括的に犯罪全般をめぐる言説が、そしてその背後にある社会の欲望がどう変化してきたかが論じられる。犯罪は増加してなければ凶悪化もしていない。にもかかわらず、体感治安の悪化は止まらない。それは、犯罪認知件数の増加を安全神話の崩壊と報道するメディアの存在のためであるが、それと連動し、我々の社会はなにか異常なものを排除したい欲望を持っているからだ。様々な欲望がセキュリティ意識として形になっている。2020/12/14

ophiuchi

2
犯罪と安全に関わる警察情報やマスコミ報道が相当に恣意的なものであり、不安を煽ることで起こった社会の変化は不可逆にさえ思えてくる(ここに書かれたような言説はメディアに取り上げられる可能性が低いので)2010/07/17

青ポス

1
題材が題材だからかも知れないが、引用が多い気がした。でも主張は確かに的を得ている。こんなところにもオルテガの「大衆の反逆」的な構造が見えた。2012/11/10

もりひろ

1
この本を読む前に「タバコ狩り」という本を読んだが、両者に共通するのは邪魔者を排除・なかったことにする風潮に対する警告は真摯に受け止めたいと思った。2011/10/06

void

1
【★★★★☆】セキュリティ意識の高まりが感情論で動いてるからこその理屈でねじ伏せられない辛さ、応報・教育刑論という刑法論の根源に関わり原則:死刑に傾いた最高裁判例、「社会不適合者」を掬うネットとしての司法・行刑、権威主義の39条。統計による一般的な風評を破るという基礎から、現在行刑上問題となっている事柄の一部が明快に示されている良書。最近話題の「カレログ(=GPS追跡)」もストーカーに限らず「子どもを守る」という名目で・それを目的として売りだせば有用とされる危険性もあるんじゃないかなぁ。管理社会の足音が…2011/09/08

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