内容説明
京都には秘密がある。夜空の星の如く数えきれない秘密が。よそさんが参加できないお花見。本物の京つけものの名店では買えない。おばんざいはケチな食べ物である。京都人はじつはパリびいき…。京都は千二百年の歴史と都人に育まれた高嶺の花、などではない!生粋の京都人である著者が、したたかでいけずであだっぽい、真の京都を案内する。
目次
「よそさん」―京都人だけが知っている
「桜」―京都式花見術指南
「おばんざい」―諸行無常の味がする
「水」―醍醐味いらんかえ
「喫茶店」―若旦那よ、どこへゆく?
「つけもの」―花の都パリパリ
「きもの」―虚の衣装、生の衣装
「御利益」―何事の、おはしますかは知らねども
「あの世」―振り向けば怨霊がいる
「和菓子」―性、業、因果の三色だんご
「料亭」―はんなりした、ええ愛情
「京都」―幻想都市へようこそ
著者等紹介
入江敦彦[イリエアツヒコ]
1961年、京都・西陣、髪結いの長男に生まれ、機の音に囲まれて育つ。多摩美術大学染織デザイン科卒業。MICHIKO LONDONコーディネーターを経て、91年渡英、現在ロンドン在住。エッセイスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ねええちゃんvol.2
2
★★★ その土地で最も尊敬され、地位が高いとされる職業:東京では政治家、大阪では実業家、京都では大学教授2011/09/07
ブラタン
2
著者の本を読むのは二冊目で、一冊目は「秘密の京都」(新潮社)という本であった。読んだ時は「目から鱗」だったのだが、実際に紹介している店に行くと必ずしも納得がいくものではなかった(河道屋養老や中村軒)。「この人の感性が『京都』そのものなら、あまりかっこいいものではないなー」というのが率直な気持ちであった。5年前からロンドンに住み、過去の資料だけで京都のガイド本を書いている著者の姿勢も「かっこいい」とは言い難い。これが「京都らしい」のか?リベンジも含め、もう一度この本に紹介されている店に行ってみよう。2009/09/23
朱音
1
単なる観光案内ではなく、「いけず」て「したたか」な京都人の内面を描いていて面白い。私は育ったのは滋賀だが父方の親戚はみな京都。身内に見せる顔と外とは違ったんだろうけどそんな「いけず」な雰囲気はちょっとわかるような気もする。はんなりとか雅とか言ってる裏でしっかりちゃっかり生きてるって言うかなんと言うか。京都人は「関西人」といって大阪やら奈良やらと一緒にされとうない、っていうのはあるかも。(滋賀や福井なんて言うまでもないって感じに)ふたばの豆餅が食べたくなった!2002/06/07
nibiiro_sora
0
これはすごい。入江さんのエッセイを読んでしまったら、お手軽な京都案内なんて、読めなくなります。京都ファン必携だと思います。2012/05/04
J。
0
京都人の「そうどすか、よろしおしたなぁ」は 「それでよろしい」ではなく「どうでもよろしい」なのだ。 時として、この翻訳は「バカにはわかんねぇよ」だったりする。 しかし、言葉の慇懃さゆえに反論も出来ず、 それ以上突っ込もうものなら、「ああ、怖い怖い」と茶化される。 感情的になる前に、合理的にモノを考えろ。 いかなる感情も、制度・伝統・因習の前にはちっぽけなものなのだ。 そんな、京都人の法則。2011/09/27