感想・レビュー
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いっこ
3
パルチザンに加わった学生ミルトン、移動中に自分では恋人と思っていたフルヴィアの別荘を訪れる。フルヴィアはいなかったが、管理人から彼女と親友ジョルジュが親密な関係にあることをほのめかす言葉を聞いて、疑心暗鬼になってしまう。まさに個人的な問題で、ジョルジュを追うミルトンのそれからが、克明に描かれる。「ここでパルチザンが撃ち殺された」という記念碑を、イタリアの小さな村で見たことがある。戦士たちの内心は碑からはわからない。パルチザンだった作家が生き延びたからこそ、書けた作品だ。2021/10/25