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内容説明
まだ携帯電話もない頃の物語。どこにでもいそうな二人の、ありふれてはいるけれど、なぜか切なく心にしみる恋の話。札幌~東京、遠く離れた恋人の間を行き交う何通もの手紙。綴りきれない想いを「追伸」に託して。
目次
岬
新しい部屋
胸の中の手紙
再会
待つ時間
メリークリスマス
風邪旅行
キス
月食
歩いて考える
百合の夜
約束
追伸
著者等紹介
森雅之[モリマサユキ]
1957年、北海道に生まれる。漫画家。妻は絵本作家の森環。漫画家の鈴木翁二は義兄。日常生活の中のさりげないエピソードをリリカルに描く作風は、多くの熱烈なファンを持つ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
katsubek
19
さだまさしに「追伸」という歌がある。学生時代、サークルの先輩(女性)に、「あの歌に出てくる鴎外の本は『雁』だと思う」と言われたことを、不思議に覚えている。ところで、あの歌の歌詞は、どこからが「追伸」になるのかと、改めて考えたりした。さて、本書。偶然の出会いからの約1年間、男女が互いに宛てて書いた追伸付きの手紙が紡ぐ物語である。手紙はメールよりも切なく、SNSよりも重みがある。出そうとして出さなかった(出せなかった)手紙は、なおさらである。素敵なストーリー。じっくり楽しみたい作品である。2019/02/10
阿部義彦
17
10/1発売だそうです。バジリコ株式会社刊。もとは1988〜89に、まんがライフオリジナルに連載されたものらしいです。森雅之さんは寡作であまり単行本も出てないですよね。たしか昔「ぱふ」に書いてた様な気がします。何回かの復刊だそうですが、今回初読みですがとにかく、さりげなく深いですね、電話がついても、「ねえー。だけど手紙も頂戴ね!」この一言に痺れますね!女の子のバイト先はやはり本屋ですね。さまになってます。時という薬がこれから二人をどうするのか?この本は大切にします。2018/10/03
nekonekoaki
4
北海道出身の漫画家。著書はずいぶんと出されているようだけれど、なぜこれまで目に触れて来なかったのかと悔やまれる思いの作者(作風)です。喜怒哀楽の表情、間のとり方や色使いなどとても好きです。手紙だから伝わること、手紙でなければ伝わらないこと、想いを文字にして相手に届けることの意味が、とても貴く感じることのできる作品です。2018年9月20日初版第一刷発行。1988〜9年「まんがライフオリジナル」に13回の連載。2004年単行本として出版。その後絶版状態からの復刊。2023/09/30
1
デリダに『絵葉書』という奇妙な哲学書(作品?)がある。あれも、ラブレターの体勢を取っており、手紙の送信によるズレ(=差延)を主題としていたが、この『追伸』という作品も、そのような時間的/空間的、或いは恋人同士の感情のズレが作品の主題を構成する。中盤以降、電話という時間的/空間的な「距離」を縮減する装置の登場は、皮肉にも感情のすれ違いを広げるだろう(メールやSNSが発達した現代においてはより示唆的ではある)むしろ、必然的に遅延(=「追伸」)してしまう微細な感情を拾い上げてゆくこと、作品の掛け金はそこにある。2020/02/07