内容説明
プライドと合理性とかんしゃく玉。強烈な個性で敗戦国家を牽引した異彩の総理大臣吉田茂とその時代を、ユーモラスかつ活き活きと描いたニューウェーブ・ノンフィクション。
目次
尊大なる小男
憲法音頭でみな踊ろ
吉田茂対四百万人の不逞の輩ども
野に下る
小男の剛腕
戦前の吉田茂
囚人、吉田茂
謀は密をもって良しとす
半島炎上
講和ちょうちん
急降下
例の有名なあのひとこと
終幕
琥珀
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みんと
7
実話なのに、よく練られた政治小説のように面白い。 昭和の戦後時代の総理大臣吉田茂の伝記である。 発足して間もなくあまりの身勝手さに四面楚歌に陥る吉田内閣だが、戸惑うこともなく、葉巻を燻らせながら豪邸の窓から見下ろし、余裕な態度である。 飢餓で死にそうだと訴える人々に、そんな声が出るくらいならまだ死なない。 家で寝てろと吐き捨てる。 面白くなければ、バカヤローと癇癪を起こす。 良くも悪くもユニークで気骨のある政治家だったことは確かなのだろう。 吉田茂という人間像をとことん堪能することができる。2010/10/24
katta
3
『へんないきもの』で大ヒットした作家が選んだ、次の「へんないきもの」は吉田茂。戦後混乱期をひとりで治めた豪腕総理大臣。ワンマンと揶揄され人を騙しぬき、アメリカとの交渉を一人で切り抜けた。頑固で意固地で大金持ち。側近は大変だったけど、今ではそんな総理が羨ましい。人となりだけを描いているので、読みやすいし面白い。今の民主党の騒動と較べると興味深い。2010/09/07
最終バック九番手
2
誤字が目立つのが惜しいがリズミカルな文体でとても読みやすい…吉田を基準軸にすると日本国民の節操のなさがくっきりと浮き彫りにされる…この世は人を使う人間と人に使われる人間の二種類に分けられるということか…それにしても言行不一致というか発言のあまりの軽さには鳩山兄が可愛く思えてくるほどだ…参考資料:あり…初版第1刷発行:2010年8月26日…本体1600円2010/11/14
鱒子
1
kattaさんの「へんないきもの 吉田茂」にニンマリしてしまいましたww 国会がアツかった時代を著者の冷静でドライな視点で読めます。2015/09/06
yshigeru
1
自分の名前を本の中に見つけるというのは不思議なものだ。しかしそれは、私自身のことではなく、私の名前の由来となった「オリジナル」の人物の名前である。政治的・歴史的評価は様々あるだろうが、人間的魅力に溢れた人物であることには間違いない。私は「コピー」の一人として、常に「オリジナル」の影の中で生きてゆく。それはそれで愉快な人生だと思う。バカヤロー。2013/05/12
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- 和書
- しらゆきの果て