内容説明
コミュニズムの「幻想」を通して、二〇世紀の総括を試みた初めての書。政治思想史の泰斗が、二一世紀に生きる我々に遺した究極のメッセージ。
目次
革命的情熱
第一次世界大戦
世界の心をとらえた十月
信仰と幻滅
一国社会主義
コミュニズムとファシズム
コミュニズムと反ファシズム
反ファシズムの文化
第二次世界大戦
スターリニズム、コミュニズムの最終段階
冷戦後のコミュニズム
終わりの始まり
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takao
2
ふむ2024/02/09
メルセ・ひすい
1
※いわば仏蘭西革命史研究の反マルクス主義化を推し進めた。そのフィレがコミュニズムを主題とするここで、強調するのは露西亜革命がまさに、この政治的事由という本質を欠いているがゆえに、仏蘭西革命とは似ても全く異なるものものである。自由主義に対する敵意、議会制民主主義に対する侮蔑といった点で、コミュニズムは、むしろ最初からファシズムと同じ菌床からでてきたもの。フィレはこの構図の反復を露西亜革命の前史からフルシチョフ後に至るまでを詳細に分析している。 2008/02/20
メルセ・ひすい
1
9-36 40 赤35 ブルジョア論を中心にして・・ コミュニズムとは、ファシズム同様、民主主義を母体として誕生した、民主主義による民主主義の否定であった…。コミュニズムの「幻想」を通して20世紀の総括を試みる。・10年前に他界した。最晩年の著作。仏蘭西革命研究の大家。フィレ以前の同研究は唯物史観の支配下にあり、革命の本質は階級闘争に求められてきた。しかし、フィレは自由主義革命としての仏蘭西革命という見方を打ち出し、革命の本質を政治的目的に求めてパラダイム・シフトをもたらした。※ 2007/12/04
天婦羅★三杯酢
0
とにかく分厚い。20世紀のほぼ全域を生き抜いたボルシェビキズムに関する本だが、実際の政治史や理論の是非ではなく、「どんなイメージを、自国を含む世界に振りまいたか」という視点で書かれた本である。2017/05/23