内容説明
「小説を書くこと」と「戦時下を生きること」が相互に活力を与えあい、生まれた太宰治の作品たち。そこに表現される暴力性と、隣り合わせの狂気や滑稽さに着目した長年の考究の集大成!
目次
序章 太宰治にとっての暴力・滑稽・読者
第一章 暴力を無効化する笑い(「畜犬談」―ユーモアの陰翳;「十二月八日」―ナショナリティにまみれる/おくれる笑い)
第二章 救いとしての綻び―「新釈諸国噺」の方法(「大力」―越境者たちの本懐;「猿塚」―不憫という隠れ家;「人魚の海」―困難/希望としての「信」;「破産」―〈内証〉の行方;「裸川」―〈うがち〉で開かれる/閉じられる物語;「義理」―反響する〈卑怯〉;「女賊」―承認のための執着;「粋人」―決戦下の〈虚栄〉;「遊興戒」―転移する依存;「吉野山」―期待はずれの連鎖)
第三章 作家/読者の相互依存(「水仙」―〈徳〉の不在証明;「トカトントン」―贈与としての〈かたり〉;断片の織りなす〈座〉―太宰治・昭和一六年の〔アンケート回答〕四篇)
著者等紹介
舘下徹志[タテシタテツシ]
1962年、北海道釧路市生まれ。北海道大学文学部卒業(1984年)、佛教大学文学研究科修士課程修了(2008年)。修士(文学)。大学卒業後、道立高校に勤めた後、釧路工業高等専門学校に勤務。横光利一・太宰治・金子みすゞなど、大正・昭和期の小説や詩を中心に研究を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。