生きるための日本史―あなたを苦しめる“立場”主義の正体

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  • サイズ 46判/ページ数 289p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784862281159
  • NDC分類 210.04
  • Cコード C0021

内容説明

日本社会は人間ではなく“立場”でできている「家」社会が明治期の徴兵制によって崩壊過程に入り、「立場」主義社会が形成された。「タテ社会」や「空気」を超える日本社会論。機能不全を起こす現代社会で生き延びる道を「無縁」に見出す「私の世界史」。

目次

序章 私の世界史
第1章 「自分の問題」を理解するための歴史
第2章 「家」から「立場」へ
第3章 「日本立場主義人民共和国」の興亡
第4章 「ポスト立場主義」への展望―無縁の原理
第5章 おわりに―これからどうやって生きていくべきか
附論 ラッセルのパラドクスと、ラッセルの5つの要請

著者等紹介

安冨歩[ヤストミアユミ]
東京大学東洋文化研究所教授。1963年、大阪府生まれ。京都大学経済学部卒業後、銀行勤務。京都大学大学院経済学研究科修士課程修了。京都大学人文科学研究所助手、名古屋大学情報文化学部・東京大学大学院総合文化研究科・情報学環助教授を歴任。著書『「満洲国」の金融』(日経・経済図書文化賞受賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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壱萬参仟縁

50
安冨先生の人生は、両親の歴史と不可分。戦争によって魂に刻まれた傷は、先生の魂の傷と深く関連。人生は社会構造に埋め込まれた歴史的事件と不可分。世界の歴史と結びついているという(16頁)。この視座に共感した。生きている、の理解は無理。死んだ、死んでいる、は理解しやすいという(46頁)。母の死体に遭遇したことを思い出した。日本立場主義人民共和国(66頁)。すごい表現だが、わかりやすい。民主主義は、学問を福澤諭吉先生がscholarshipの訳語にしたように、民主主義が日本語になかった(123頁)。2022/05/18

おおにし

19
安冨さんがあちこちで提唱されてきた立場主義について一冊の本にまとめられている。今の社会で生きることに息苦しさを感じるすべての日本人に読んでもらいたい本。ただし、立場主義を脱するのは容易ではない。昔の安冨さんを知っている人は、女性装で馬に跨る今の変貌した姿に驚くことだろうが、そこまで生き方を変えなくては立場主義社会から抜け出すことはできないという事実を物語っている。さて、自分はどのようにして立場主義から脱出できるのか、いろいろ足掻きながら考えてみたい。2021/05/05

kyoko

12
安冨さんの著書は10冊目。やはりこの本も思考の流れが自然で、わかりやすく感じる。特に「無縁」に関するところは、わたしも網野史学のファンなのでとても興味深かった。それにしても人類、あるいは歴史は進歩するなんてのは幻想にすぎないと改めて思う。岡田英弘さんの「歴史とは何か」を思い出した。何度でも読みたい本。2021/05/29

Kooheysan

8
【再読】歴史学の知見を使って日本社会の問題点を考えていく構成。安冨先生の過去の著作も適宜参照されます(これもとても刺激的です)。現在は「日本立場主義人民共和国」=「立場」と「役」が何より大切で人間そのものが大切にされない国、の衰退期ということですが、今後はどうなっていくのやら個人的にはまだ先は見通せないです。主題の一つであろう、語り得ないもの=無縁の世界への考察については、近いうちに『合理的な神秘主義』で勉強しなおすことにします。大変密度の濃い内容です。2025/04/14

青雲空

6
立場が重視され、立場に従うように暗黙に強要されているというのは、会社内の実体験からもよく理解できる。残念ながら日本人は、そうとう意識しないかぎり、組織や社会といった枠組のカタチを疑わず、与えられた場所で課せられた役割を無批判に遂行しようとする。 だから、結局お上に隷従する心理が強い。これだけ自民党にコケにされながら、まだ消極的に自民党と言っている国民の臣民根性は度し難いものがある。2024/10/19

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