内容説明
なぜ学生たちは「野党ぎらい」なのか。民主主義のバージョンアップ。
目次
1 強権に「いいね!」を押す若者たち(「軍事政権だって、いいじゃない」という若者たち;ポピュリストに共感する若者たち;「野党嫌い」な若者たち;「ブラジルのトランプ」と若者たち;「わがまま」を言えない若者たち;「選挙には行くけれど」という若者たち)
2 世界に広がる民主主義の危機(民主主義の脱定着へ向けた危険―民主主義の断絶;衰退の兆候)
3 民主主義を「バージョンアップ」する日まで(民主主義を脱ぎ捨てる日;「強権」への誘惑に負けないために)
著者等紹介
玉川透[タマカワトオル]
1971年生まれ、宮城県仙台市出身。東北大学法学部を卒業後、1996年に朝日新聞入社。国際報道部デスク、ベルリン支局長などを経て、2017年からGLOBE編集部。現在、GLOBE編集長代理
モンク,ヤシャ[モンク,ヤシャ] [Mounk,Yascha]
ジョンズ・ホプキンス大学准教授
フォア,ロベルト・ステファン[フォア,ロベルトステファン] [Foa,Roberto Stefan]
ケンブリッジ大学講師(政治学)
〓田江里子[ハマダエリコ]
千葉大学法政経学部特任研究員、博士(法学)(上智大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケディーボーイ
37
投票して「報われた」という実感「政治的有効性感覚」これを高めるために多党制や市民参加型予算編成など様々な手法が世界で試みられているが、一長一短あるよう。 しかし試行錯誤して決めていくのが民主主義。たしかに時間はかかるし、欠点もあるが現時点ではそれ以外に最良はないように思える。少なくとも新しい制度を考える事を放棄して独裁制に戻るよりはマシ。 ウクライナへの侵略で日本でも急にプーチン批判が増えたが独裁についての認識は深まったのだろうか。いやプーチンだけが特別におかしく自分達の選ぶ人間はそうではないと思うのかな2022/03/09
みねたか@
31
先の衆議院選挙結果、なぜ時の政権の存続に与する人々がかくも多いのか?本書でややこの疑問が解消。若ものたちは「多数派が正しいと言っていることにダメだと言い続けるのは足を引っ張ること」と言う。確かに学校(遠い昔の記憶)で民主主義は多数決と同義だった。さらに景気の長期停滞が産んだ実利主義が「そもそも論」を考える余裕を失わせたという指摘も納得。加えて、日本特有の「民主主義の前提となる個人や自我の確立」が不十分という実態の指摘には暗澹たる気分になるが、最後のマルクス・ガブリエルの言葉に希望を託そう。2022/01/07
Tom
4
先の衆院選挙の結果を受けて、興味が湧いたので読んでみた。たしかに、和を以って貴しとなし対立が嫌いな日本の若者が野党を嫌うのは自然な流れか。しかし若年層の保守化は世界的な潮流である。貧乏人も富裕層も今の生活を守りたくて、下手に政権交代して今より生活が悪くなるのが嫌なのだろう。そこには夢がない。人々はどうして夢を失くしたのだろうか。民主主義のアップデートについては旧来のように選挙一本で民意を問うのはもう限界かもしれない。昨年の#検察庁法案改正に反対しますのようにSNSや他の方法を駆使して声をあげる必要がある。2021/11/05
な
3
ページ少ないし文章も学生とのやりとりをベースにしているのでラフな印象ですぐ読めた。おもしろかった。会社が民主主義じゃないから政治と結びつけにくいし、自民党に反対することは会社の社長に口答えするようなことだからよくないという考え方はたしかにそうだと思ったが、批判の精神がすっぽり抜け落ちていて、ある意味教育が成功しているな。それとくじ引き民主主義、やりたいなぁ。2023/07/20
アーク
3
アベ政権と自民党の支持者って、歳のいったネトウヨと若年層が多いというのを聴いたことがある。その理由が本書を読んで分かったな。バブル崩壊後に生まれてさしたる物欲も他の欲求もなく過ごしていた若者たちが強者におもねるのが理解できた。ただ、興味深いのは世界的にそういう傾向にある、ということ。まあ権力に擦り寄るのは何も考えなくていいし、楽だから、って事なのかね。2020/06/08