目次
第1章 理性の構築―『狂気の歴史』(「理性の不安」;狂気と理性:『狂気の歴史』;デカルトの懐疑;「大いなる閉じ込め」;中世における「狂気」;近世以降;狂気経験の構造)
第2章 知の台座―ヨーロッパ的知という構造(思考の土台:エピステーメ;動植物についての知;エピステーメが生み出すもの)
第3章 パノプティコン―自己規制によって作られる自我(死の権力;生の権力;規律)
第4章 「私空間」の編成―『性の歴史1』
第5章 生政治と自己への配慮―抵抗の拠点?
著者等紹介
貫成人[ヌキシゲト]
現在、専修大学文学部教授。1956年、神奈川県に生まれる。1985年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。現象学をはじめとする現代哲学、歴史理論、舞踊美学を研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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りん
16
哲学というと抽象的な概念の話でわかりにくいというイメージだ。しかしフーコー自体が以前の哲学とは違うアプローチをしていることもあるだろうがそれを差し引いてもとても分かりやすく書かれている本だと思う。自分たちが真理に基づいて制度化され権力に規制されるがその前提は虚構であるという概念は不気味で救いがないがその構造を俯瞰する視点を獲得することで、世界の見え方や考え方は変わるし、そういう所が哲学の面白い所だと思う。しかしその獲得した構造さえもフーコーの言うエピステーメの変化によって否定され得るかもしれないとか考えだ2015/12/31
ふみすむ
16
ポストモダンの思想というと、いかにも難解そうで、本当に中身(実体)があるのか疑わしいというイメージがつきまとう。ただ、本書を読んだ限り、フーコーに対しては、多くの人が近代以後の社会の中で薄々気づいている(身近な)断片をまとめ上げたうえでその文章化に成功した思想家、という印象を抱いた。フーコーは『狂気の歴史』『言葉と物』では人間の理性を問い、『監獄の誕生』『性の歴史Ⅰ』では近代的主体を問題にしている。いずれも近代においては自明とされた概念である。2015/06/25
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7
フーコーについての入門書ということで読んでみたが、コンパクトな割に内容の濃いものとなっている。この本を一読すると、いかにあまたの「入門書」が「入門書でなかった」かを、つくづく思い知らされる。ここでは、余計なバイオグラフィーや、よくある著者のくどくどとした熱い思いは必要とされない。とにかく無駄がなく、スッキリとまとめられているのが素晴らしい。フーコーの哲学の紹介のみにとどまらず、デカルトやカントを挙げながら、著作の解説に沿いつつも、絶妙なバランスで実際にフーコーの哲学を演じてみせている。2013/12/03
かふ
6
ガルシア=マルケスの『族長の秋』の「王の身体」という機能は「死の権力」ということでそれまでの国家権力の捉え方なんだが、フーコーはもう一歩踏み込んで「生の権力」という監視権力のシステマティックを論じていた。学校とか病院とか軍隊での規律社会。異常とみなされると隔離されてしまうような社会。そういうシステム社会に慣らされてしまうとその社会にある規範に逸れてしまうと異常とみなされしまう。より良い人生を主体的に選んでいるようでもシステムに乗せられ外れることができないでいる現実。2014/11/10
Olive
5
さすが中学生にもわかるシリーズ 人間がどのように主体的存在となるに至ったか、近代の権力が歴史の中でどのように確立したか、それが我々にどのように浸透しこんにちに至るのかを著作から読み解く。 デカルトやカントやヘーゲルにも触れていて、コンパクトでありながらもフーコーの思想をある程度見渡せる。私のようなフーコー初心者にはたいへん参考になった。2021/12/31
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- 和書
- 原爆の図 講談社文庫