出版社内容情報
<なぜ人はレイプをするのか。進化生物学が解き明かすレイプ分析が、この地上からレイプ犯罪を撲滅する>
本来、愛の到達点であるべき「性行為」を、暴力的に、あるいは抵抗できない支配的状況下で強いる「レイプ」は決して許されるべきではない。このような非道な行為をどうすれば防ぐことができるのか。レイプは男の「業」なのか、永遠になくならないものなのか。
著者たちのレイプに対する進化論的研究がこの問題の根本的解決の道を指し示している。レイプの原因の間違った捉えかたが、いかにこの犯罪行為を助長し、さまざまな防止活動を妨げてきたか。レイプに対するはじめての科学的研究の成果がここに明らかにされる。
子育ての労が少ない男は、繁殖のために多数の相手に関心を向けることになった。こうした男のセクシャリティの進化が、レイプの根本的要因だと著者はいう。
レイプは動物界に広く存在する。しかし人間の場合、この根本要因を科学的に見極めることで、はじめてレイプ予防の道も開かれるのである。
米国でフェミニストとの間に大論争を巻き起こした問題の書。
長谷川眞理子氏(総合研究大学院大学教授)が本書を推薦(解説文担当)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kenitirokikuti
7
図書館にて。邦題の直訳は「Rapeの自然誌:性選択の生物学的な基礎」。E.ウィルソンの社会生物学の系譜である▲ヒトも有性生物として生殖活動しており、進化論の知見である「性淘汰」に焦点を当ててヒトのレイプ行動を観察調査するもの▲生殖活動の戦略は、個の生存や種の保存のそれとはさしてリンクしていない。ヒトのオスは外見的に妊娠しやすそうなメスを見ると生殖活動を強いたくなる。ヒトには発情期がないので、単に若い(=初潮から閉経まで)女を次々と取り替える方が孕ませる可能性を高める。…(続2021/07/06
hitotoseno
7
社会学(特にフェミニズム)との論争を目論んだ書物ではあるが、一方で本書はレイプにまつわる言説に見られる矛盾をも解き明かしてくれる。道徳的に頽落しているとされる2chでもレイプに対しては手厳しい。ロリコンの間でも女児強姦は殊の外タブーとされている。が、同時に彼らはレイプ被害者にも厳しく、容姿や行動によってはビッチ呼ばわりさえする。この矛盾は社会学的には男尊女卑として扱われるだろうが、それだけでは十分ではない。本書によればレイプが起きるのは雌雄の間の繁殖全般に充てるコストの違いが理由とされている。2015/10/05
鏡裕之
4
性やレイプに対してまったく知識がない人は、「へ~え」と感心するだろう。しかし、ポルノの専門家としては、凡作にしか見えない。レイプ幻想と実際のレイプとは違う。その両者を分けずに生物学的視点からスタートしている時点で、議論としてはアウト。生物学では、性幻想と実際の性行動との違いを説明できない。「人はなぜレイプのシステムについて誤解するのか」という本こそが必要。2014/04/02
主任のデリちゃん
3
自分がレイプをしないタイプの男性や娘がいる親は読んでおいて損はない本かと思います。 ただし僕を含め、ブサイクで富も名誉も地位もない男性が読むとますます自分に自信が無くなる可能性があるので注意が必要かもしれません。2014/04/27
faqa
1
読んでないけどあちこちの感想を見ると絶望的な印象を残す人が多く、イムソヨン「神秘的じゃない女たち」では人々がそういう反応を示しているのはこの本が心理学や社会学の要素を意図的に排除しているせいだと批判。2025/04/21