内容説明
戦没者遺児の最終世代ともいえる著者は、残されていた親父のたった一枚の古びた「死亡告知書」をもとに、出征にまつわる父親の足跡を徹底調査する。そして、ついに旧大日本帝国陸軍の本質的体質に迫ることになる。涙なしには読めない哀愁ドキュメンタリー。
目次
1 父の最期へのいざない
2 父の足跡(父が亡くなった病院は第一五〇兵站病院なのか第一五六兵站病院なのか;父が罹った病気の発病要因と症状;軍歴証明書に記載されている父の足取り;父が編入した第一補充兵役とは;父にまつわる諸隊名について;空白の五ケ月、父はどこでどうしていたのだろうか)
3 当時の日本陸軍の状況(「昭和十八年陸亜機密第七十八号」と父の応召;臨時召集と兵の質低下;中国における当時の日本軍の戦況;そして終戦)
4 父の真実回復をめざして(真実の回復へのぜん動;ひとつの推論;真実を父と母へ)
著者等紹介
佐々木利明[ササキトシアキ]
昭和17(1942)年東京生まれ。1歳8カ月から3歳5カ月まで新潟県新発田市湖南の母の実家で過ごす。その後の幼少年期は北の街釧路で過ごし、上京ホテル業界で定年を迎え、更に5年間の嘱託勤務も終え、現在に至る。東京都町田市鶴川在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Toska
19
1歳の著者を残して出征した父は、南京の兵站病院で戦病死を遂げた。時に昭和20年3月。そして平成20年、著者は定年退職を機に父の足跡を調べ始める。色あせた死亡告知書が唯一の手がかり。厚生労働省から始まって、問い合わせ先は防衛省防衛研究所、都庁福祉保健局軍歴管理室、中国大使館、所属した連隊の遺族会、兵站病院に勤めた元看護婦、靖国神社と徐々に増えていき、当時の戦況や徴兵システムについても資料を収集。その過程で、死亡告知書の誤記載など意外な事実が明らかになった。一個人でここまで調べられるのか、という驚きと感動。2025/08/28