出版社内容情報
山寺にはどんな仏が祀られ、人々は山寺に何を願ったのか。考古・文献・美術・建築の研究者9人が独自の目線で山寺の本質に迫る古代の山寺や神社にどのような神仏が祀られ、人々は何を願って参詣したのか? 山寺をとりまくすべての人々にとって、そこは宗教的にどんな場所だったのか? 宗教者の修業の場だと見る評価ではなしに、本書では山寺の本質をめぐって、座談会で問題意識を共有したあと、考古・文献・美術・建築の専門家9人が独自の目線で追究する。
序 古代山寺の本質と多様性理解に向けて………………久保智康(京都国立博物館名誉館員)
第1部 座談会 古代の山寺を考える
プロローグ 石清水・神峯山寺・本山寺の見学/用語の使い方
1 山寺の成立事情 飛鳥・藤原京の周辺/比曽寺と自然智/古代山寺の成立はいつか
2 山寺の空間構造 平地寺院と山寺の構造/天台の山寺の個性
3 山寺の儀礼と修行 天台の止観業と遮那業/遺物からみた儀礼と修行/なぞの古密教/修験の要件
4 山寺の仏像と神像 薬師・観音・毘沙門天/平安の千手観音、仏像群と本尊の配置/本尊の効験/牛頭天王・蔵王権現
5 山寺に集う人々と宗教機能 文献史学の問題点/古代国家の仏教政策と山寺/中世山寺の成立/悔過の目的/民衆への仏教の浸透/関東の村落内寺院と山寺
エピローグ
第2部 山寺の歴史的展開
宮都と周辺の山寺―飛鳥・奈良時代を中心に―…………大西貴夫(奈良県教育委員会主査)
山寺と山岳祭祀遺跡…………………………………………時枝 務(立正大学教授)
山寺と神社の構成―神仏習合の空間論序説―……………久保智康(京都国立博物館名誉館員)
伊勢国近長谷寺と地域社会の胎動…………………………上川通夫(愛知県立大学教授)
里山と中世寺院―民衆仏教の展開―………………………菊地大樹(東京大学准教授)
室生寺からみた古代山寺の諸相……………………………井上一稔(同志社大学教授)
山寺と仏像……………………………………………………長岡龍作(東北大学教授)
蔵王権現をめぐる諸問題……………………………………藤岡 穰(大阪大学教授)
礼堂・板敷・夢見―平安時代初期の仏堂と参詣作法―…藤井恵介(東京大学教授)
久保智康[クボトモヤス]
久保智康(くぼ ともやす)
1958年生まれ
京都国立博物館名誉館員・叡山学院教授
専攻:考古学・美術史
〔主な著書論文〕
『東アジアをめぐる金属工芸 中世・国際交流の新視点』(編著・勉誠出版)
「出雲鰐淵寺の神と仏―鏡像・懸仏の尊格をめぐって―」(『叡山学院研究紀要』35号)
「宗教空間としての山寺と社―古代出雲を例に―」(『季刊考古学』121号)
「古代出雲の山寺と社」『大出雲展』(特別展覧会図録)京都国立博物館
目次
序 古代山寺の本質と多様性理解に向けて
第1部 座談会 古代の山寺を考える(山寺の成立事情;山寺の空間構造;山寺の儀礼と修行;山寺の仏像と神像;山寺に集う人々と宗教機能)
第2部 山寺の歴史的展開(宮都と周辺の山寺―飛鳥・奈良時代を中心に;山寺と山岳祭祀遺跡;山寺と神社の構成―神仏習合の空間論序説;伊勢国近長谷寺と地域社会の胎動;里山と中世寺院―民衆仏教の展開 ほか)
著者等紹介
久保智康[クボトモヤス]
1958年生まれ。京都国立博物館名誉館員・叡山学院教授。専攻、考古学・美術史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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