内容説明
沈黙の詩学の浸透したジョイス作品において、求める意味は絡まった糸の中にある。歴史的史料を用いて、その糸を1本1本ほぐす。ジョイス研究の新しい地平を開く。
目次
第1章 アクィナスに刃を仕込む“応用”
第2章 『キリスト教徒に開かれた地獄』よりも地獄を「開く」者
第3章 二つの「スキュラとカリュブディス」と、“イエス伝”“イエス小説”が語るイエスにならいてシェイクスピアを語るスティーヴン
第4章 ジョイスが“エッケ・ホモ”に見たもの
第5章 バード・ガールに学ぶ見せ消ち
第6章 「西への旅」に見る見せ消ち
第7章 「まだ学ぶべきことがたくさんある」―ジョイスのコインシデンス再考
第8章 コインシデンスと沈黙の詩学
第9章 ピスガ山より眺め見るコインシデンス―サインの文学へ
第10章 χのユニヴァーサリズム
著者等紹介
金井嘉彦[カナイヨシヒコ]
一橋大学特任教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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燃えつきた棒
27
『ユリシーズ』出版百周年にあたる2022年のでブルームズデイ(6月16日)に出版された本書を、三年遅れの今頃になって読んでいるのは、僕の怠け者たる所以だ。 金井先生の精緻で興味深い分析には、初学者の僕には理解が及ばない面も多々あったが、上質で端正な装丁の本書は、『ユリシーズ』原本と同様、再読、再再読を想定して書かれた本だと思われるので、一周目としてはやむを得ないだろう。 この先ジョイス作品やキリスト教関連本やジョージ・ムアなどの周辺作品を読み込んで行くうちに、僕の疑問点も徐々に氷解して行き、金井ジョイス→2025/06/30
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