内容説明
ライフワークのひとつとして永年書き継いできた「明星」論、そしてそこに集った女流歌人群像。それら初期からの論考が時を経て一冊となった。一〇〇年以上昔に情熱的に生きた彼女たちに、時に寄り添い、ある時は冷静に、そして丁寧にスポットライトをあてていく。女性が短歌を自己表現の武器として躍動し始めた時代の空気を、羨ましくおもう筆者の息づかいもどこかに感じられるだろうか。「明星」表紙絵がアルフォンス・ミュシャの模倣であったことを初めて指摘した一篇のほか、対談、講演録などを含む全13篇。
目次
1 「明星」初期と晶子(「明星」初期論序説;晶子と椿;晶子と古典;清々とした気迫―晶子の色彩感;「明星」そして「冬柏」)
2 「明星」の女流歌人(近代短歌女性史より;「明星」初期の女流歌人;青春の白百合;自律の姿勢;晶子の鎌倉・かの子の鎌倉)
3 座談・講演記録(素顔の与謝野晶子;晶子と『源氏物語』)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
冬見
14
鉄幹周辺の情報を整理したくて手に取った。情報が偏っていたせいか晶子贔屓のせいか、今まではどうも晶子に肩入れしてしまって鉄幹の良いところがあまり見えていなかったけれど、本書を読んで鉄幹のプロデューサーとしての優秀さや言語感覚の鋭さを知り、印象が変わった。女性関係云々はやっぱりキライだけど。山川登美子も暗い顔をした幽霊というイメージが薄れて、鋭い理知を持った強かな女性というイメージが。10年足らず、たった100号の雑誌がここまで短歌史を変えてしまうなんて。100年と少し前に思いを馳せた。2018/10/25
双海(ふたみ)
9
尾崎さんのライフワークのひとつ、「明星」に関する初期からの論考及び座談、講演を収録。 特に与謝野晶子・鉄幹そして、「明星」に集った女流歌人たちにスポットを当てる。「明星」の表紙を飾った絵がアルフォンス・ミュシャの模倣であったことを最初に指摘した一篇なども収録。2023/10/06
浦和みかん
0
本書を読んで明星における西洋文化の影響、晶子と源氏物語の関わりなどを整理できたのはよかった。2018/07/28