わたくしが樹木であれば - 歌集

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  • サイズ 46判/ページ数 192p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784861983894
  • Cコード C0092

出版社内容情報

小池昌代氏推薦

人と獣とのあいだをさまよいながら歩くうたびと。岡﨑さんは、あやふやで危うい、しかし充実しきった途上を生きる。
かつてわたしたちの前に、棒のごとき裸身ですっくと立った彼女の歌。第一歌集『発芽』の芽は、その後、外側でなく彼女の内側深くへと成長し、自らに裂傷を負わせたかに見える。
亀裂によって樹の肌に、玉のごとく滲み出た樹液は、今、迷いも矛盾も含みとって、厳かに濁り、即物的な重力を付け始めている。所々には刃物のような覚悟も垣間見えて。
いよいよ岡﨑さんは歩み始めたのだ。沼ならば一層、深い沼のほうへ。・・・小池昌代「帯文」より

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちぇけら

23
あなたより0.6℃高い肌にふれつつ桃などを食む。わたしを吸い上げておおきくなるあなたを思いながら、今日も眠れない。いたずらに肌をかさねて、それは深いぬかるみ。あなたがつけたキスマークにキスする月夜、無抵抗にねむったあなたに、わたし以外でおおきくならない呪文をかけて、わたしは誰でもいい男のしたで衣擦れを鳴らす。あなたとなら湿る吐息も乾いたまま、いつまでも渇いていく。獣になりきれないまま、ひとには戻れないまま、繁華街のネオンサインが眼をつぶすから、深い森のなか、凍えたのどであなたをひとりぼっちで喚ぶ。2019/06/10

たては

5
静かな言葉選びの中に、強く激しい感情が見え隠れして、今生きている日常が感じられます。難解でないところがいいです。エロティックな歌、家族の歌、いろいろありますが「階段ですれ違うとき目が合えばあなたの組織になりたい、はやく」が一番好きです。2018/04/15

yumicomachi

4
年上や年下のおとこ、亡き父、母、妹、そして「産ま(め)ない」わたくし、の存在と関係を繰り返しうたう歌集で、それらの歌はもちろんいいのだが、そんな中で〈トリニダード・トバゴって国にはたぶん行かない 裏窓に咲く花を見ている〉〈春菊は花になりたくないのかな まな板に青い傷を残して〉〈たまに犬がすごく美味しそうに見える区境の森を夕方行けば〉などの歌が新鮮だ。(特に三首めは二度見するほど驚いた)。比喩としての「森」や「沼」が多用されているのがやや凡庸な感じがして気になったが、作者としては計算の上かもしれない。2017/10/21

A yaka

2
「体などくれてやるから君の持つ愛と名の付く全てをよこせ」という第一歌集収録の歌から作者を知った。 赤い炎を求めて購入したが、青い炎へ、色と温度が変化した感じ。 「わたくしが樹木であれば冬の陽にただやすやすと抱かれたものを」 「眠りたいと思って眠る/眠りたくないと思って眠る しずかに」 本の装丁がブルーの冷たく爽やかな水彩の濃淡の重なりであるのに対して、カバーをめくるとサーモンピンクの蛍光色が優しく現れる。 「皮を削げばこのような色 生ハムをつまんだ指を交互に吸って」 p172の歌を思い返した。2020/07/15

あや

2
いろいろな感情も樹木に例えられているところがとてもいいです。2018/04/01

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