目次
緊急シンポジウム 時代の危機に抵抗する短歌(開会のあいさつ;講演 時鳥啼くなと申す人もあり;鼎談 戦後七十年の軋みのなかで;閉会のあいさつ;シンポジウム参加者メッセージ)
緊急シンポジウム 時代の危機と向き合う短歌(開会のあいさつ;提言にかえて;講演 危うい時代の危うい言葉;ミニトーク 時代のなかの反語;パネルディスカッション 平和と戦争のはざまで歌う)
著者等紹介
三枝昂之[サイグサタカユキ]
りとむ。昭和19年山梨県生まれ。芸術選奨文部科学大臣賞、若山牧水賞など受賞多数
吉川宏志[ヨシカワヒロシ]
塔。昭和44年宮崎県生まれ。寺山修司短歌賞など受賞多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かふ
12
2016年に出た本なのだが、この時期は安保法制が可決されたりで歌壇も危機感を持っていたのだが、今は逆に反動的になっているような。三枝昂之(たかゆき)が60・70年代にはそういうシンポジウムがしょっちゅうあったのだがそのうちに保守化が進んで、安保法制成立までなってしまったという。この諦めムードはなんだろう。現実にあっちこっちで戦争が起きているのに、一番はアメリカだろう。その当時(60・70年代)は「飢えた子供たちの前で文学は可能だろう」と真剣に語りあったという。2025/06/21
はち
3
再読。自ら規制をかけてしまうことが一番危うい。澤村さんの「自衛隊に戦死者が出たときに不謹慎な歌を詠めるか」という問い。想像し続けないといけないな。2016/09/14
はち
3
京都の方には行きたかったのだが、断念してしまったのでこのようにまとめられることはとても嬉しい。昨今の政治状況の中でこの本が出版され残されることに価値がある。作品を作る中でこれは大丈夫なのだろうかと自問自答することも多くなってしまった。どこまで踏み込んでいいのか、自分で自分に規制をかけていたのだが、それが一番危ない。2016/08/02
紫苑
1
昨年9月に京都で行われた「時代の危機に抵抗する短歌」と、12月に東京で行われた「時代の危機と向き合う短歌」の記録集。当日のレジュメが併録されており、講演やディスカッションを理解する一助となっている。新聞投稿歌が多数引用されている。講演中で修辞を弄することが戒められているが、新聞投稿歌はストレートで一般読者にも分かりやすいという特徴を持つ。しかし、短歌が文学である以上、機会詠といえども事実のみの描写や、テレビや新聞記事からの借り物、単なるスローガンであってはならないと私は思う。2016/06/19