内容説明
あちらが夢で、こちらが現実だなんて、いったい誰がきめたのだろう―記憶を辿ると、埋もれていたもうひとつの世界がみえてくる。心地よくて懐かしい、そして少し不思議な物語。中上紀、最新短編集。
著者等紹介
中上紀[ナカガミノリ]
1971年東京生まれ。ハワイ州ハワイ大学美術学部卒業。「彼女のプレンカ」ですばる文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パヤパヤ
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これは短篇集の形をとりつつ、それぞれの作品群はゆるく繋がった一遍の小説とも取ることができるもの。テーマは敢えて言えば日本というアジア圏にありながら都合よくアジアの枷から逃れてしまった(とされる)主に経済的理由から))文化のアジア圏との「再会」についてなのだが、これらの「情勢」についての大掛かりで実感の欠けたジャーナリズムに大概占拠されがちなテーマが、見事な精細に満ちるのはこの筆者の手にかかってこそ。東南アジア男性(国籍は明らかにされていない)との子供を関係の先行きも未定で生む日本女性の姿が物語の主軸です。2011/04/04