内容説明
なぜ、彼らは旅を続けるのか。仕事とは、生きるとは、自由とは。地方都市をまわる大衆芸能「カイルン」の一座を追いながらベトナムの現在を生き生きとした文と写真で体感するノンフィクション。
目次
第1章 旅の空の幻
第2章 それゆけユンリン一座
第3章 マングローブはカイルンを待っていた―カマウ
第4章 あるセロイ引きの物語―ソクチャン
第5章 老人たちと海―フーコック
第6章 死に場所へ橋を架ける―カントー
第7章 ドリフターズ―漂泊者たち
漂えど沈まぬ人たちに―あとがきに代えて
著者等紹介
木村聡[キムラサトル]
1965年、東京都生まれ。フォトジャーナリスト。新聞社勤務を経て、1994年よりフリーランス。国内外のドキュメンタリー取材を中心に活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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rosetta
25
ベトナムのミュージカルとかオペラと呼ばれるハット(歌) 農村の村芝居として11世紀には始まったとされる北部のチェオ、宮廷の庇護を受け歴史や英雄劇が盛んな中部のトゥオン、現代的で先進的な南部のカイルン。村の空き地にステージを作り幕で覆い屋台等も出て村は年に数回のお祭り騒ぎになる。ギターやドラムや民族楽器の生演奏が効果音まで担当し観客から70円程の入場料を取り夜8時から10時11時まで続く。まさに日本のドサ回りの大衆演劇団の雰囲気。画像が荒かったりピントが合っていなかったりする写真が怪しげでどこか物悲しい2021/01/26
Mitsuhito Shiraha
0
アンゲロプロス「旅芸人の記録」小津「浮草」と、旅芸人を描いた映画を思い出す。「浮草」の男と女の腐れ縁は、ここベトナムの現代にもあるのだ。それにしてもタフな作者だ。よくもまあ未開の熱帯で彼らに密着したものだ。 時代の流れに翻弄されるのは旅芸人の宿命。2024/06/15
imajun
0
「浮草のようだけど、決して根無し草なんかではない」「漂えど沈まぬ人たち」と作者が表現する旅劇団カイルン一座の生き様。メコンデルタで読むためにとっておいたが、やはりこの地カントーで読むと臨場感が何倍にもなる。カイルン劇団は今もこのメコンデルタで歌声を響かせているのだろうか?「会うべき見知らぬ「フロンティア」はまだ山ほどある」「旅をしろ」との作者の巻末の一言が旅情をくすぐる。2024/06/03
ちゃーびん
0
△2021/09/08