内容説明
小さな種子のもつ豊かな世界を伝えたい。人類の共通財産多様な品種を次世代に引き継ぎたい。種子法廃止をきっかけに種子と人間・社会の未来を語る。
目次
序章 種子法の廃止が農の営みに与える影響
第1章 種子法の制定背景と意義
第2章 国際条約と種子システムにおける位置付け
第3章 ジーンバンクと農家圃場の遺伝資源保全
第4章 農業・農村開発の考え方と農民の権利
第5章 知的財産権の強化と多国籍企業による種子の囲い込み
第6章 品種と種子に関する日本の議論
第7章 種子法に支えられた素敵な品種たちの誕生物語
第8章 野菜の種子を守る自治体のユニークな取り組み
第9章 海外の農民主体の品種育成と在来品種の保全
第10章 種子を公共財として守るために
終章 持続可能な世界のための多様な種子システム
著者等紹介
西川芳昭[ニシカワヨシアキ]
1960年、奈良県のたね屋に生まれる。京都大学農学部農林生物学科卒業、英国バーミンガム大学大学院生物学研究科および公共政策研究科修了。博士(農学)。専門は農村開発・農業生物多様性管理。国内外のフィールドで、農家の種子調達や品種管理の調査研究を手掛ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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えも
17
種子法廃止に対し、声高に反対を煽るのではなく、日本農業にとって「種子」とは何だったのかについて、しっかりと基礎を押さえ、現状を分析し、客観的な判断材料を示してくれる。そうすることで僕たちは、必然的に種子法の重要性を認識することができる▼批評的精神に優れた学者の著書って、さすがだなあ♪2018/02/18
coolflat
13
種子法の対象作物は、稲、大麦、はだか麦、小麦、大麦である。それらの種子生産に関しては、農家に優れた品種の種子が行き渡るよう、国が責任を持って都道府県に委託しており、都道府県レベルで、各地域にあった品種の作物が生産されるよう、責任を持って適当な形質などを明らかにするように定めている。種子法はそれぞれの地域にあった品種選定とその種子供給を国の責任として定めている。この法律があるから、都道府県は地域にとっては大切ではあるが、需要が必ずしも多くない品種普及と種子生産が可能になっていた。その種子法が突然廃止された。2017/12/18
なーちゃま
2
種子は、こんなにも保護されてきた、大切な財産なのか。初めて「種子法」という存在を知った。スヴァールバル諸島、現代のヴンダーだな。2023/10/06