内容説明
「ゆうゆう」という赤ん坊の泣き声に、父は「〓〓と鹿鳴き野の蒿を食む」という古詩の一節を思い、その女の子を〓〓と名付けた。それからおよそ40年後、薬学者となった彼女がマラリア薬開発において、まさにこの詩に詠われる「蒿」という植物の研究に没頭することになったのは不思議な運命と言わざるを得ない。とは言え当時は粗末な実験施設しかなく、研究者の体を危険から守る防護設備も十分ではなかった。そんな過酷な状況で、彼女らは自らの体を犠牲にしながら砂を噛むような実験を続けた。ただそこにあったのは献身的な情熱だった。中国の伝統医薬から画期的なマラリア新薬を生み出し、2015年に中国人の女性として初のノーベル賞を受賞を成し遂げた女性研究者の物語。
目次
推薦の言葉 屠〓〓氏の研究執念(2015年ノーベル生理学・医学賞受賞・大村智)
プロローグ
第1章 少女時代
第2章 医学への志
第3章 神秘の薬草
第4章 中国の神薬
第5章 世界的な名声
付録 スウェーデンカロリンスカ研究所における講演
付録 屠〓〓氏年表
著者等紹介
町田晶[マチダアキラ]
東北大学文学部東洋日本美術史で学士を、同大学院文学研究科中国哲学で修士を取得。現在、日中翻訳学院中日翻訳講師。訳書『悩まない心を作る人生講義』(チーグアン・ジャオ著、日本僑報社、2016年)で日本僑報社翻訳新人賞を受賞
西岡一人[ニシオカカズヒト]
神戸市外国語大学外国語学部中国学科卒、東京外国語大学院アジア第一言語科卒。卒業後シャープ(株)勤務。20年に及ぶ中国勤務を経て、2012年定年退職。現在フリーの翻訳者、通訳者として活動中。全国通訳案内士(中国語)。2017年より、日中翻訳学院主催の翻訳塾にて、翻訳の専門的な訓練を受けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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