出版社内容情報
画(か)くよ、画くよ。素晴しいものを――
大正ロマンの旗手が、その恋愛関係を赤裸々に綴った自伝的小説。
評伝や研究の基礎資料にもなっている重要作を、夢二自身が手掛けた
134枚の挿絵も完全収録して半世紀ぶりに復刻。ファン待望の一冊。
解説:末國善己
「なかなか画けない。こんどはすっかりモデルを使わずに、頭と感覚だけで画いて見ようとおもっているんだが、どうもやはりぼくには写実の手掛りがないと構図がつかないんだ。そう言えばぼくの生活にもその傾向があるね」
「どういうことなの」
「つまりひとりでは寂しくていられない人間なんだね」
三太郎は吉野の顔を見ないで、それを言った。吉野は黙っていた。そして、暫(しばら)くして言った。
「これからはお出来になるわ、きっと」
それは三太郎に対する愛の最初の言葉でもあり、遠く家を捨て、男の許へ身を寄せた娘の、自分に言いきかせる、誓言(せいごん)でもあった。(…)
「画くよ、画くよ。素晴しいものを」(本書より)
内容説明
大正ロマンの旗手が、その恋愛関係を赤裸々に綴った自伝的小説。評伝や研究の基礎資料にもなっている重要作を、夢二自身が手掛けた134枚の挿絵も完全収録して半世紀ぶりに復刻。ファン待望の一冊。
著者等紹介
竹久夢二[タケヒサユメジ]
画家・詩人・デザイナー・作家。1884年岡山県生まれ(本名・茂次郎)。1901年に上京し、翌年、早稲田実業学校に入学。1905年、平民社の機関誌「直言」にコマ絵を発表、その後「平民新聞」にも絵や文章を発表する。翌年には「東京日日新聞」、「女学世界」、「文章世界」などからも依頼を受けるようになり、早稲田実業学校を中退。1909年に初の画集『夢二画集 春の巻』(洛陽堂)を刊行。1914年、日本橋に自身がデザインした小物などを売る「港屋」を開業。以降、画家、詩人、グラフィックデザイナー、翻訳家、小説家として幅広い活躍を続ける。1931年から33年にかけて欧米各国を訪問。1934年、49歳で逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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kaz