出版社内容情報
桐山襲の鮮烈な軌跡を網羅!
未発表作品「祭りの準備」収録。
解説:白井聡
内容説明
疾風のように時代を駆け抜け、鮮烈な軌跡を刻んだ桐山襲の軌跡!―1973~87。
目次
1 小説・戯曲(祭りの準備;パルチザン伝説;亡命地にて―一九八三年・秋;スターバト・マーテル;風のクロニクル ほか)
2 評論・エッセイほか(「パルチザン伝説」の海難;死者と共に提出した“戦後の総括”―『白樺の林に友が消えた』;消えた喫茶店;声明;“雪穴”の向うに―森恒夫『銃撃戦と粛清』/植垣康博『兵士たちの連合赤軍』 ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マリリン
45
『パルチザン伝説』『スターバト・マーテル』『風のクロニクル』は既読。『祭りの準備』...表題の意味を考える。祭りとはあの闘争のことなのだろうか。カーオとアルビンが共に過ごした多感な時代の郷愁。伊豆の旅で語り合った過去の情景が美しい。そして意外な形での別れ。『亡命地より』...「バルチザン伝説」が問題視された過去を語る。冒頭に引かれたプレヒトの「…きみはあした帰るのだ」が終始脳裏に去来する。国境を越えて…1970年の夏・沖縄…当時はそうだった。沖縄への強い想いを感じる。語る情景は詩的情緒に溢れ美しい。2021/04/02
マリリン
44
読んだのはp504~605の日誌と資料(雑誌・新聞等に掲載された記事)と解説。特に掲載記事は『パルチザン伝説』事件と作品に対する多様な捉え方と共に、報道の問題やテロ(おこすのは必ずしも左翼ではない...)がどのような形で生れたか等現代にも通じる当時の事実が書かれていて大変興味深かった。桐山氏自身が自分の作品は多くは売れないと言っているにも関わらず、この全集に事件の詳細をまとめ残した意味は深い。単行本で読んだ『パルチザン伝説』は河出書房が2017年に出版。1984年に作品社出版の同作品は事件にも触れている。2022/03/29
maya
13
約80頁にわたる資料と解説を読む。左翼の立場を貫いた桐山の根底にあったのは「現在に対する憎しみ」‥字面は強烈なだが、資料中の評にも書かれてあるように桐山作品は文学的評価に値すると感じる。敢えて『パルチザン伝説』をデビュー作とした経緯も納得。反戦歌が放送禁止になった時代、作家は作品で主張した時代。音楽が歌い継がれ聴き継がれるように、文学も読み継がれても悪くはない。芸術性を絡ませ綴られた文字や言葉と共に、当時の時代背景や側面も調べながら。出版社(作品社)の矜持を感じる。2022/03/29
柘植 公人
0
パルチザン伝説2024/02/25